中古マンションに掘り出し物などない。「好立地なのに安い」ワケ

 

老朽化して管理が行き届かなくなくなっても自分が多少の不便を我慢すればここに住み続けられると思うのは幻想です。マンションでは、区分所有者による多数決が唯一の物事を決める仕組みです。土地取得が目的で住戸を買い占めていく業者は、多数の議決権を保有する区分所有者となるのです。

早くできるだけ安価で全室を手に入れるのが目的ですので、管理費等も払わず修繕も点検もしなくなります。共用部分の公共料金を払わないため、電気も水も止められたというような事例もありました。露骨な嫌がらせをされることもあります。まさに「地上げ屋の手法です。

追い詰められる高齢居住者のことを思うと胸が痛みますが、マンションがこういう終わり方をすることとも、ある意味、仕方がないかもしれないと言う思いもあります。一旦、管理不全で空室だらけになってしまったマンションを立て直すには多額の費用が必要ですが、だれもそんなお金を負担しません。もちろん建替えもできません。買い手がいるうちに手放してしまいたいと外部区分所有者が思うのは無理からぬことです。誰もババを手元に持っていたくないのです。

そういった買い占めがおこるのは、解体費用を指し引いても土地に価値があるという立地だからと言う見方もできます。悲しい最後の迎え方ですが、都心の立地のいいマンションでは、こういった形であっても最後の後始末を自分たちで行うことができるのですが、多くの管理不全マンションは、土地の売却費用では建物の解体費用の目途もたたないのです。

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