がん患者の3割超が解雇。がんと闘いながら「生活」する人の苦悩

 

余命を告知されてから、精神的にも不安定になっていたんですけど、生活保護のことで余計落ち込んじゃって。メンタルクリニックにも通う羽目になってしまいました。

こう語るのは今から4年前にすい臓癌で余命一年を宣告された50代の女性です。

何度かこのメルマガでもとりあげましたが、彼女とは以前、私がYahoo!ニュースに寄稿したコラムがきかっけで交流が始まりました(すい臓癌を巡る報道への私的な見解。マスコミのみなさん「がんの王様」と言わないで。)。

コラムを読んだ彼女が私にメッセージをくださり、その後数回、私が彼女のもとを訪ねているのです。

医師が驚くほど抗がん剤治療が効いた彼女。

宣告から2年過ぎた頃から給付された手当も貯金も底をつき、生活するためにも治療を続けるためにも働くことを決意

ところが、病院に常勤するがん患者の就労支援をするキャリア・カウンセラーには、「あなたの病状で就職するのは無理」と、治療費を稼がなきゃいけないのに突き放されてしまいました。

まるで「病院に来るな」って言われてるような気がして。目の前が真っ暗になりました。体調に落差があるのでがんを隠して働くことはムリです。何度か履歴とがん治療中であること書いたお手紙を添えて、就職活動をしているのですがすべて断られました。

私は……

「自分はがんだから、仕事なんてしなくても良いんだ」なんてことを思った事は、一度もありません。余命宣告を受けたときも、退職させられたときも1回もない。本当に1回もないんです。かと言って、今の私は、生活出来るほど稼ぐ事も出来ない。

情けないです。

生活保護を願い出る……。言葉にするのは簡単ですけど、そこそこ人並みに仕事をして、自身の生活の糧を稼ぐのが当たり前だと感じて生きてきた人間にとって、申請の作業は自分が思っていたよりも心の中での葛藤がありました。ダメージも大きかった。

彼女は4年前にがんと診断されたときに、「仕事を辞めて治療に専念しろ」と事実上解雇された。

彼女だけではありません。がん患者の3割超が解雇されたり依願退職したりしています。

ほとんどは50代以上の働き盛りです。

また、がん患者の平均年収は約395万円(診断前)から約167万円(診断後)に激減しているとの報告もあります(NPO法人がん患者団体支援機構とニッセンライフ調べ)。

print
いま読まれてます

  • がん患者の3割超が解雇。がんと闘いながら「生活」する人の苦悩
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け