【時事英語】慰安婦像問題で「日本の言い分」が世界で通用しないワケ

 

まず、複雑なメッセージを人に伝えるとき、そのメッセージの内容と量が相手に確実に伝わる確率は、それが伝達される距離が遠く、受け取る人が海外の人であればあるほど、低くなることを知っておく必要があります。

10を伝えるとき、おそらく相手には1伝わっていればよしとするべきなのです。

しかも、その1は伝えたい部分でも最も単純なメッセージです。

文化背景、歴史的背景等の複雑な事情は、なかなか相手には伝わりません。

そして悪いことに、伝わった単純なメッセージのみが、相手の判断の材料となるのです。

さらに、メッセージを受け取る人が、日本とは異なる文化背景をもって生活している人々であることを我々はもっと意識すべきです。

例えばアメリカ人には少なくとも、女性差別に対する強烈なアレルギーがあります。

たとえそれを建前だという人がいたとしても、それを口にするだけで厳しく糾弾される社会背景があるのです。

しかも、長年アメリカでは日本社会での男女差別の問題が報道され、その負のイメージが定着しています。

さらに、最近CNNなどのメディアで常に取り上げられている話題がhuman traffickerの問題です。

Human traffickerとは、人を奴隷化して売買する組織や人のことで、今尚世界各地でこうしたことが公然と行われていることが指摘され、社会悪として報道されているのです。

であれば、例えばこの慰安婦問題をアメリカ社会に問いかけたとき、「日本の言い分」が理解されず、アメリカ社会の「タブーのコード」に日本からのメッセージが引っかかり、それだけが強調され単純化されることは目に見えています。

つまり、メッセージを伝えるときの距離と受け取る相手の文化の問題を考えて対応をしてゆかないかぎり、説明すればするだけ、誤解が深まるというジレンマに陥ることを知っておくべきです。

では、どうすればいいのでしょう。

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