沈黙の北朝鮮が再び発射。軍事評論家が分析した「火星15」の弱点

 

2カ月半もの間、北朝鮮が「沈黙」していたのは、9月段階での米国の軍事的圧力に押しまくられた結果です。以来、金正恩委員長は10月7日の中央委員会総会での幹部人事も外交・経済を中心に行ったほか、軍関係の視察も行わず、経済建設を優先するような姿勢をことさらにアピールして見せます。

しかし、同時進行させていた崔善姫外務省北米局長らによる米国との接触も空振りに終わり、中国の宋濤特使(中国共産党中央対外連絡部長)の核開発に関する要求には金正恩朝鮮労働党委員長との会見なしという「ゼロ回答」せざるを得ませんでした。米中は申し合わせて北朝鮮がゼロ回答せざるを得ないよう仕向けた面さえ感じられます。

これに対して、米国は北朝鮮をテロ支援国家に再指定します。これは、4月7日にテロ支援国家に指定されているシリアが市民に大量破壊兵器サリンを使ったことに対して、トマホーク巡航ミサイル59発を撃ち込んだのと同じ立場を、米国に与えるものです。

米国は2月13日に北朝鮮が金正恩委員長の異母兄・金正男氏を化学剤VXで暗殺したことを理由にしており、トランプ大統領が来日中に拉致被害者の家族と面会したことも、拉致というテロを実行した北朝鮮にテロ支援国家再指定をほのめかすものでした。

これに対抗して強硬姿勢を示さなければ金正恩委員長の独裁体制の基盤は揺らぎかねません。さりとて、米国の軍事攻撃を誘発するような太平洋に向けての大陸間弾道ミサイルの発射はリスクが大きすぎる。そこで、ミサイル開発の重要なステップである再突入体のテストも兼ねて、ロフテッド軌道で日本海に向けて発射したと考えるのが自然でしょう。

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