中国が5年で「EV先進国」に。中島聡が予測する自動車業界の未来

 

自動運転向けのコンピュータに関しては、現在はNvidiaが圧倒的に強い立場に立って居ますが、所詮はグラフィックス処理用のプロセッサの流用なので、より機械学習に特化した、消費電力の小さい専用チップを作る会社が3~5年以内に立場をひっくり返している可能性は十分にあると思います。ただし、Nvidiaと対抗するにはツールとソフトウェアがとても重要なので、ベンチャー企業のままで戦うのではなく、(Intelに買収されたMobileyeのように)より大きな企業に買収された上で、Nvidiaと戦う必要があると思います。

世界中を走る自動車が目となって世界の3Dマップを作るという活動も3~5年以内に盛んになると思いますが、テスラのように独自路線を走るところと、(ドイツの自動車会社が資本を提供している)Hereのように複数の自動車会社にサービスとして提供するところがどう住み分けをするのかは、注目に値します。結局、ここは自動運転技術と切っても切れない話なので、テスラは独自路線を進めるでしょうし、日本の自動車メーカーもトヨタあたりが音頭をとってHereに対抗する3D地図会社を作るというのが理にかなっているように思えます。

コネクティビティ・アプリケーション(インターネットラジオやカーナビ)に関しては、Apple Car PlayやSDL(Smart Device Link)のようなスマートフォン中心のアプローチを採用するメーカーと、テスラやGMのように車載機を直接ネットと繋いで、車載機上で走る専用アプリでドライバー向けのサービスを直接提供するメーカーの二系統に分かれると思います。ここに関しては、私の会社(Xevo)が両陣営の会社とビジネスをしているので、どちらが良いとか、どちらが勝つだろうなどのコメントは控えさせていただきます。

image by: testing / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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