それぞれの事件の概要と、法廷での彼らの言動を具(つぶさ)に描写していて興味深い。著者の傍聴ポイントが「車椅子の被告人の裁判は何かある」で、たいてい不可解な言動を繰り返す。車椅子は殆ど偽装であるらしい。弁護人は犯行時に被告は心神耗弱状態であり、責任能力について争うと主張するのはお約束だ。
いやはやとんでもない凶悪事件の詳細と、公判時のとんでもない言動がミックスされ、とんでもないアウト老の本性が暴かれていて、その方面が好きな人には格好の娯楽レポートになるだろう。一章まるまる使った「恐怖の隣人トラブル」はリアルに怖い。幸い我が家の両隣は静か過ぎる人たちである。
この新書のフォーマットが問題だ。1ページが1行42字、16行、断ちから6ミリの余白である。余白が狭すぎて落ち着かない。1行多いからだ(代表的な新書として新潮新書を例にあげると、1行39字、15行、断ちから10ミリの余白である)。右ページ隅に1行15字だけ、左ページは次の章のタイトルが中央に、というみっともない見開きもある。右ページ白のほうがまだましである。設計が菊池信義とあるが、なんでこうなるの? 残念な新書である。
編集長 柴田忠男
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