10年後に消えると言われた仕事が10年たってもなくならないワケ

tanihara20180131
 

AI等の飛躍的な進化に伴い、さまざまなメディアでよく目にするようになった「10年後に消える仕事」といった記事。私たちは手をこまねくことしかできないのでしょうか。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』の著者で現役弁護士の谷原先生は、かつて「ネットの普及で法律相談がなくなる」と言われたもののそのような事態にならなかった例などを上げつつ、未来の変化に対しては敏感に、むしろ楽しむ姿勢こそが大事だと記しています。

AIで仕事がなくなる

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

最近ビジネス雑誌やネット記事でよく見るようになった話題の一つに「10年後消える職業」というものがあります。昔からこういった未来予測はありますが、最近の「ブーム」は、AI・ビッグデータ等の技術の発展が、ビジネス環境を劇的に変えることが予想されているためでしょう。

幸い弁護士は「消える職業」として挙げられることはあまりないようですが、隣接法律職では、税理士が挙げられることが多いようです。これはクラウド会計ソフト等により、会計記帳が自動化されつつあることが主な理由でしょう。

しかし、実は税理士の仕事がなくなるという説は、これまでも何度も出ています。特にパソコンの会計ソフトが出てきた時、盛んに論じられました。仕訳を打ち込むだけで元帳や決算書ができてしまう会計ソフトは、確かにインパクトがありました。記帳代行を行う税理士の仕事がなくなるという言葉は、説得力があったものです。しかし、実際は税理士の仕事はなくなりませんでした

記帳代行業務の低価格化が進んだのは確かですが、申告時の税法の微妙な判断や、税務調査の立会い、また、企業の財務的なコンサルティング的な仕事に強い税理士の需要は、まったく消えませんでした。

弁護士業務では、ネットで条文や判例が簡単に調べられるようになり、法律相談などがなくなるといわれることがありましたが、これもなくなってはいません。検索により、格段に調べ物はしやすくはなりました。しかし情報の信頼性の見極めや、法律等の実際の案件への当てはめは、やはり法律専門家でなくては難しいもの。また、相談後は代理人に就任し、交渉等を行うこと、法廷に立つこと等を前提に行うことが多く、これらは人間でしかできないことは言うまでもありません。

産業革命による機械化等を引くまでもなく、技術発展による仕事の変化は、歴史上何度も繰り返されてきました。その際、「職業」自体がなくなることもありますが、その反面新しい仕事が生まれたりしています。また、多くは仕事の内容の変化です。

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