2014年クリスマスのパリを皮切りに、2015年クリスマスのロンドン、2016年感謝祭の時期のニューヨークなど、大都会から人が消えた瞬間を収めた一瞬を収めてきたフランスを拠点に活動する、写真家のGenaro Bardyさん。そんな彼が今回選んだのは、東京です。人が消えた大都会の一瞬を捉えるため、今年の元旦に撮影したという「無人の東京」の姿を紹介しましょう。
※本記事はジモトのココロに掲載された記事です(2018年1月31日)
カメラが切り取るほんの一瞬、無人の街と化した大都会
以前、MAG2 NEWSでもご紹介したフランス人写真家のGenaro Bardyさんによる写真プロジェクト「Desert in the City」では、これまで2014年クリスマスのパリを始めとし、2015年クリスマスのロンドン、2016年感謝祭の時期のニューヨーク、同年クリスマスのローマを舞台に、大都会から人が消えた、ほんの一瞬を写真に収めてきました。
そんな彼が5番目の舞台として選んだのが、東京です。
「deserted Tokyo」と題された30枚にも及ぶ写真のコレクションは、すべて一夜にして撮られたというから驚きです。
Bardyさんによると、欧米と異なり、街じゅうから人が消える時期が予測しにくい東京での撮影は大変なもので、悩んだ結果、彼が選んだのは2018年1月1日から翌2日にかけての真夜中。
さらに東京は広いため、東京を象徴するエリアである渋谷、原宿、新宿に撮影場所を限定し、5日間もの準備期間を経て撮影に臨んだそう。
東京のストリートから人がほぼいなくなった状態に、「本当にマジカルな瞬間で、素晴らしかった。無人の渋谷を撮るのは難しいと思っていたから。あまり人がいなくなったほんの一瞬を捉えることができたんだ」と話すGenaroさん。
元旦の午後11時から翌2日の朝6時までの約7時間、およそ16キロにも渡る距離を彼はひたすら歩きながら撮影したそうです。
人混みが途絶えることなど一瞬すらないように思える渋谷での撮影は、確かに難しかったようですが、それでもその日の深夜は幸い人も少なく、無事に撮影を終えることができたとのこと。
撮影を行った7時間のうち、人気のなくなる時間帯、いわゆるマジックアワーは朝4時以降だそうで、午後11時から夜中2時の間は、ほんの20〜30秒の間でさえカーライトを避けることができなかったと言います。
眠らない街と呼ばれる大都会東京ですが、カメラが捉えたのはほんの一瞬だと分かっていても、そんな瞬間が存在すること自体に驚きます。仮にもし、この光景が数時間の現象として起こるようなことがあれば、きっとそれは「異常事態」なのでしょうから、そう考えると何となく不気味な気もします。
あなたなら、もし人の消えた都会に一人取り残されたように佇んでいる自分を想像したら、何を思うでしょうか。
Genaro Bardy/フランス・パリを拠点とするフリーランスの写真家。これまでフランスやロンドンなどの大都会を舞台に、大都市から人が消えた一瞬を写真に収めてたプロジェクトを発表。欧米メディアにも取り上げられるほど話題に。今回、5弾目の舞台に東京を選んだ。日本での活動も視野にいれ、現在、東京でギャラリーを探している。
公式サイト/Instagram
All photo by: © Genaro bardy
文/貞賀 三奈美