マンション住人同士のコミュニティ形成に一役買おうと「AED訓練」や「クリスマス会」など、独自のイベントを催すマンション組合は少なくありません。しかし、無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者でマンション管理士の資格も持つ廣田信子さんは、そうしたマンション内のコミュニティ作りが2016年の「標準管理規約改正」を理由に管理会社によって妨害されることがあると、注意を促しています。
管理会社がコミュニティ形成を妨害?
こんにちは! 廣田信子です。
コミュニティ形成がテーマのセミナーでは、なぜ、管理組合にとってコミュニティ形成が必要なのか…ということに力を入れて話すようにしています。資産価値(市場で一定の評価を受けて流通する)居住価値(住み心地のいい安心して暮らせる環境がある)を守ることは、管理組合の重要な使命です。
高齢化・高経年化が進み、高齢一人暮らしが当たり前になり、空家が増えることが確実な未来に、ここに住み続けたい、ここを購入して暮らしたい…と思う人がいなければ、資産価値も居住価値も維持できませんから…。コミュニティはそのために不可欠な要素なのです。
コミュニティ行事が盛んで、楽しい交流があるということは、それだけでマンションにとってとても価値あることだと思いますが、コミュニティ行事は、コミュニティ形成のひとつの方法であり、それ自身が必ずしも管理組合にとっての目的ではないと思っています。管理組合に必要なコミュティとは、多様な価値観や事情をお互い包み込みながら、マンションの未来を一つの方向に持っていく合意形成力をつけるためにこそ、もっとも必要だと思っています。
そのために、特別なコミュニティ行事をしなくても、お金をあまり掛けなくても、自治会等の組織をつくらなくても、マンションらしいコミュニティを育てる方法はあります。2016年3月の標準管理規約改正後は、特にこの部分を強調して伝え、その具体的な方法についてお話するようにしています。
この時の改正で、「コミュニティ形成」が「管理組合の業務」から消えてから、「コミュニティ形成は管理組合の仕事じゃないから、管理費をお祭りや懇親会に使えない」と、間違った表面的な理解でコミュニティ形成に水を差す中途半端に知識がある組合員が必ず出ることを想定して、そのときに、きちんと、なぜコミュニティ形成が管理組合にとって必要なのか説明できるようになってほしいという思いです。