例の中国人たちは、便が欠航したことで、日本で不当な扱いを受けたと逆恨みし、「中華民族に最大の危機せまる」などと大げさに歌ったわけです。しかし、彼らのほとんどは、LCCの安チケットを購入した者たちでした。格安ですからいろいろ制限や不便があるのも仕方ないのですが、にもかかわらず、いざとなると法外な要求をする。
そうした不逞の連中ですから、中国当局も国歌の歌詞を引用するようなかたちで、「祖国は危険が迫った時の後ろ盾であって、スケープゴートではない」と批判したのです。
ただ、中国人が抗議のために国歌を歌ったのは成田がはじめてではなく、世界各地の空港でよく歌っています。2015年にはタイの空港で飛行機の遅延に怒って国歌を歌い、大騒ぎした事件もありました。
● タイの空港で大騒ぎした中国人ツアー客、なぜ国歌を歌ったのか
抗議の際に「義勇軍進行曲」を歌うのは、その歌詞もさることながら、共通の曲がそれほど多くないからです。もちろん「東方紅」という曲もありますが、毛沢東を讃えるための歌ですから、やはり時代遅れでしょう。
改革開放後、日本の著名な音楽家・高木東六が中国へ歌謡採取に赴いたことがありましたが、あの広大な中国に民謡は少数民族にしかなく、かつてのものはほとんど消えてしまっていました。文章は国の大事ですから、歌詞だけは残りますが、唱歌としては残っていなかったのです。だから共通の歌がないのです。
2014年には、タイのエアアジア航空の機内で、座席のマナーをめぐり中国人女性客が大暴れしたこともありました。客室乗務員に熱湯を注いだカップラーメンをぶちまけ、さらにそのボーイフレンドが参戦し、「私の友人は人民解放軍だ。この航空機を爆破してやる」と恫喝したため、航空機はそのままバンコクに引き返し、カップルは拘束されて多額の罰金を支払わされました。
もっと楽に旅をしたいなら、ビジネスクラスにアップグレードすればいいと思いますが、それをせずに揉め事を起こすというのは、マナーや教養の問題です。