ひとつ興味深い心理実験を紹介しましょう。
これはオーストリアの高校生を対象に行なわれました。
まず、高校生を5つのクラスに分け、クラスごとに「この人はケンブリッジ大学からきた知人です」と紹介。
ただし、5つのクラスで「ケンブリッジ大学」での地位を、次のように変えて紹介しました。
「ケンブリッジ大学の○○です」
クラス1「学生」
クラス2「実験助手」
クラス3「講師」
クラス4「准教授」
クラス5「教授」
そして、紹介された男性が部屋を出て行ったあと、「彼の身長を推測しなさい」と指示。
その結果……なんと地位が上がるごとに身長が平均1.5センチずつ高く報告されたのです。
つまり、「学生の彼」と「教授の彼」を比較すると、教授の彼の方が6センチも高いと認識されてました。
肩書きは獲得するのが非常に難しくもあり、同時に権威のシンボルです。
肩書きとは、すなわちパワーです。
そのパワーは、身長の高さまでも変えてしまうほどの影響力をもっているのです。
ですから“総理夫人”という、極めて希少価値の高い肩書きにすり寄って来る人もいれば、悪用する人もいる。
だからこそ、肩書きのある人は普段から振舞いには十分過ぎるほど気をつけなくてはなりません。
ホントに「誰かの役にたちたい」という気持ちがあるなら、肩書きの鎧を脱ぎ、肩書きを隠し、それがバレないように行動しないとダメ。
その肩書きの持つパワーを、常に自覚した振舞いをしないと、予想だにしない事態に発展することがある。
「私は言ってない。私は何もしていない」と関与を否定するのは、無責任としか言いようがありません。