相次ぐ入試問題ミス。責任者を減給した学校は裁判で勝てるのか?

 

学校が勝ちました。その入試ミスは懲戒理由になると認められたのです。なぜか。その具体的な理由は下記の通りです。

  • この教授は入試委員会の総責任者という立場にあり、入試試験開始後の試験問題の点検を入試ミス防止のためのガイドライン(この大学が作成したもの)にそって確認をすることが容易であったのに、やらなかった
  • 問題の作成段階でも問題のチェック表の点検などを容易に実施できる(もしくは他の職員に命じて行わせることもできる)にもかかわらず、やらなかった
  • 以上のように職務を怠ったのは懲戒理由になりうる

つまり簡単にお話すると

「入試ミスがあったことを責めているわけではないよ。でも、やるべきことをやらなくてミスが発生したのはダメだよね、責任者なわけだし」

ということです。

いかがでしょうか。これは実務上も非常に大切なポイントです。

「仕事でよくミスをする社員を解雇もしくは懲戒処分したい」というご相談は私もよくいただきます。ただ、「ミスをするだけで懲戒処分を行うのは通常は難しいと考えたほうが良いでしょう(もちろん、状況や頻度にもよりますが)。

ではどうするか。ミスがおこらないような「仕組み」を作ることです。例えば

  • 担当者を複数にしてお互いにチェックしてもらう
  • 担当者が一人の場合はチェックリストを作成して一人でもダブルチェックできるようにする

などです。このような仕組みを作った上で、それを行わずにミスが発生したのであればそれは、その社員の「職務怠慢」となります(場合によっては懲戒理由になりえます)。

ただ、もちろんこれは「ミスが起きたときに懲戒理由にするための仕組み」ではもちろんなく、ミスが起きないための仕組みです(言うまでもありませんが)。

みなさんの会社でも今一度、見直してみてはいかがでしょうか。

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【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

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【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

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