日本は未だ「真の独立国」ではない。武田教授が憂う屈辱的な条約

 

日本駐留のアメリカ軍はなぜ撤退できないのか?

第二のこと、日本からアメリカ軍を撤退させるのが最も難しい課題でしょう。

なぜアメリカ軍が日本に駐留しているかというと、

  1. 世界の国にとって日本という国は危ない
  2. アメリカにとって中国とロシアの進出を防ぐため

の二つの理由があります。第一の理由はサンフランシスコ平和条約の時に、日本を独立させるのは危険であるという意見に対して、「軍隊を持てない、アメリカ軍が駐留する」という条件で各国(戦勝国)が納得した経緯があるので、それに対して日本が膨張主義をとらないということを明確にすることによって克服できます。

また、アメリカの防衛に対して日本列島が「不沈戦艦」であるという位置づけは、長い航続距離を持ち核を発射することができる原子力潜水艦の存在で緩和することができ、少なくとも自衛隊が日本軍として行動し、アメリカとの安保条約を強固にし、原潜の寄港地としての便宜を図れば、アメリカも軍事費の支出で苦しんでいるので、受け入れる可能性があります。

それは「日米地位協定の改訂も含めて実施する必要があります。

憲法9条や在日アメリカ軍にくらべて、地位協定のことを精通している日本人は少ないのですが、簡単に言うと「日本にいるアメリカ軍人や軍属は日本の法律に従わなくてもよい」という前時代的な不平等条約です。敗戦国のドイツやイタリアですら、すでにこの種の不平等条約は改訂されています。

ただ、日本では「日本を守る。日本の誇りを守る」という立場の右翼やメディアが「従米」と言われていますから、話題にも出ないし、「アメリカのやることは常に正しい」というスタンスですので表面化しないのですが、ある意味で幕末に黒船のペリー総督との間で締結した「日米和親条約よりも屈辱的とも言えます。

つまり、世界の大国であり、どの国よりも古い2000年の歴史を持つ日本が、世界でほぼ唯一の「非独立国」であることは私にとっては耐え難いことです。そこで、まずは自衛隊を軍隊として認めて、「日本人の生命財産を守ることができる軍隊」として日本人自身が認知し、それに基づいてアメリカとの協定を改正して、対等な立場になるとともにアメリカの極東戦略に全面的に協力することが必要と思います。(つづく)

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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