なんと、その裁判の結果は「セクハラを意図的に行ったとは認められない」でした。その発言は「妊娠による体の変化を指摘したにすぎない」としたのです。
ここで「えっ???!」と、思われた人もいるかも知れません。ただし、です。セクハラを「意図的に」行ったとは認められませんでしたが結論としては「セクハラに該当する」として会社が裁判に勝ちました。
どういうことか。裁判所は次のように判断しました。
- (その懲戒処分を受けた社員は)女性社員に対して、厳しい対応をする、高圧的な態度をとる、と女性社員から否定的な評価を受けていた
- 特に(セクハラを受けた)女性社員には業務上のミスについて強い口調で注意し、その女性社員がトイレに逃げ込むという出来事が発生した直後での発言のため、セクハラの意図は無かったとしてもその発言に性的な不快感を覚えるのは当然である
- その不快感を覚えさせないように配慮する義務があったというべきでそれを行わなかったのはセクハラに該当する
つまり「セクハラの意図はなくても相手がセクハラと感じることはやってはダメですよ(セクハラに該当しますよ)」ということです。
いかがでしょうか。これは実務的にも非常に気を付けるべきポイントです。「その意図はなかった」「そういうつもりで言ったのではない」は、通用しないことをしっかりと社員全員に伝えていきましょう。
中には意図してやっても「その意図はなかった」と言い張れば大丈夫と考えている人もいるかも知れません。また、男性の感覚ではセクハラに感じなくても女性からはセクハラに感じることもありますしその逆もあります(女性から男性に対するセクハラ問題も最近は増えてきています)。
問題が起こる前に起こらない環境を作っていきたいですね。
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