2. 欧州経済
欧州ECBドラギ総裁は、12月に量的緩和を中止するとしている。イタリアとスペインで、ナショナリズム政党が政権に着き、移民政策などの見直しを行い、今は量的緩和で、自国国債をECBが買い続けているので、財政赤字が許されているが、ドイツ連銀のイェンス・ヴァイトマン総裁が次期ECBの総裁になると、引き締めになり、EU離脱になる可能性も出てくると見る。
ドラギ総裁が量的緩和を終了する理由は、次期総裁の引き締めと整合性を取るためであり、欧州の景気が良いわけではないのに12 月に量的緩和を中止するしかないようである。
米国とは反対に、景気が良くないのに金融緩和の出口に向かうことになる。このため、ユーロが強くなってきた。景気が弱いとナショナリズム政党には有利になるので、ここでもおかしなことになっている。
その上に、米国の保護貿易で益々、欧州製品が売れなくなり、景気が悪くなる。そして、米国製商品を制限するので、日本製品が売れることになる。米国は日本のために保護貿易をしているようなことになる。
3. G7サミット
安倍首相は、米国の保護貿易を擁護はできないが非難をせずに、トランプ大統領を支持するようである。安倍首相は、議論を中国・ロシアの国際貿易ルール順守を問うことや選挙干渉阻止に向けるようだ。
この準備会議を先週日米欧のOECD3極通商会議で話し合われている。G7財務相中央銀行総裁会議の米国非難一色にはしないようにしたいのであろう。
しかし、貿易制限の非難が多く出て、米国と欧州は2週間以内に貿易問題を協議する枠組みをつくることで合意した。やはり、結果的には6国と米国の対立という構図になってしまったようだ。
日本は輸入自動車関税で大きな損害を出すが、世界的には米国への報復関税で米国製品が日本製品に代替されるので、全体的には日本にとっては、トントンになるはずである。日本の自動車メーカーはすでに米国に工場を持っているので、生産移転をおこなうことになる。一番問題なのが、メキシコとカナダの工場であろう。メリットがなくなるからだ。
そして、一番貿易戦争で損をするのが、米国であることは確実である。この条件は、米国だけが保護貿易で、それ以外の国は自由貿易方向に向かう体制を守ることである。このためには、米国を孤立化にさせることで、一方、米国以外の国が保護貿易に追従しないことである。
保護貿易をやってみて、トランプ大統領に米国だけが大損になることを実感させることだ。今のトランプ大統領にロジックは通用しないので、議論ができない。とんでもない大統領を米国民は選んだものである。
米国貧困層、中間層没落の影響で、ルール・チェンジを訴える論理無視の感情論だけの大統領が出てきたようだ。
そして、一番得をするのが、まじめな努力をする日本になる。歴史の皮肉だ。
さあ、どうなりますか?
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