新幹線に「手荷物検査」は必要か? 飛行機とは根本的に違う部分

 

さて、日本の新幹線の場合ですが、仮に荷物検査をするのであれば、空港のような保安検査場を設置するだけでなく、乗客は遅くとも発車20分から30分前に検査場に来なくてはならず、検査後の乗客を、検査前の乗客と隔離して待たせる待機スペースなども必要となります。これは、東海道、北海道、東北上越、北陸を3~4分間隔で発車させている東京駅では全く不可能です新大阪でも、名古屋でも全く無理でしょう。

また、仮に危険物の車内持ち込みは禁止するが、その分、スーツケース等に入れて預託するのはOKという航空機やアムトラックのような対応を行うとなると、今度は車両の大改造が必要になりますし、何よりも、途中駅でも荷物の積み下ろしが発生することになり、停車時間が伸びてしまうことになります。

基本的な考え方として、手荷物検査も、預託手荷物制度も、どちらも日本の新幹線システムには不向きである、もっと言えば実現は不可能ということが言えそうです。

なぜかというと、新幹線というのは長距離の豪華特急列車ではないからです。そうではなくて、単なる電車なのです。3分から4分間隔で物凄い輸送力を発揮する交通機関ですし、万人のための日常の乗り物です。そうではあるのですが、時速285キロとか320キロという猛烈なスピードを誇っているために500キロとか1,000キロという途方もない距離を短時間で結んでいるのです。ですが、その目的は豪華な旅行ではなく、あくまで待ち時間なしで飛び乗れる利便性と速達性であるわけです。

例えばですが新幹線通勤というものがあり、これは首都圏の3路線だけでなく全国に普及していて、新幹線の存在意義の大きな要素となっているのです。ということも含めて、新幹線というのは、非常に便利な電車であって、手荷物検査や預託手荷物などという要素が入り込む余地は極めて少ないと言えます。

では、新幹線独自の保安検査ということでは、どんな可能性があるのでしょうか? 例えば、今回の事件で、注目を浴びているものとして、日立製作所が研究している「ウォークスルー型爆発物探知装置」というテクノロジーがあります。

要するに、自動改札機を通過する乗客が爆弾などを持っていないかを即時に計測するというものですが、これは「爆発物をサンプリングする方法として、手やICカードに付着した爆発物微粒子を、カードの認証時に回収する手元吸引型微粒子サンプリングというのを行うマシンです。

具体的には、サンプリング部ではICカードに付着した微粒子を噴射ノズルから圧縮空気を吹き付けて「剥がし」て、「剥がれた微粒子を回収」するというものです。回収した「微粒子」は濃縮され、さらに加熱されてセンサーで分析されるという仕掛けです。

興味深いものではありますが、爆弾テロリストが「濃縮すればバレるような爆発物の微粒子」を手にベタベタつけていて、しかもその微粒子がICカードに付着していることを前提に、圧縮空気で「剥がす」というあたりには、全体的なコンセプトとして無理があるように思います。

というのは、今後はチケットというのはスマホなどの非接触式に移行するでしょうし、そもそも、こんな特殊なセンサーがあることを大っぴらに発表しているようでは、あらゆる爆弾テロリストは、実行犯や運び屋には「手を完全に洗浄」した上でセンサーを通るという対処をしてくるでしょうし、全体的に効果は少ないように思います。

この機器は相当に高額でしょうし、現在は処理タイムが3秒と長く実用にならないのを、更に短縮を目指しているそうですが、仮にこれに金属探知機を組み合わせるにしても、決定的なものにはなりそうもありません。何と言っても、1日45万人という流動には対応不可能です。

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