タバコ、酒、砂糖にもっと課税すれば死亡率は下がるー現役医師が提言

 

それでもSTAX導入は進む

WHOに加えて、元ニューヨーク市長のマイク・ブルームバーグ氏が立ち上げたブルームバーグ・タスクフォースも、STAXを強く推奨したこともあって、世界中の国々の中から、この強力な健康政策を導入する国がどんどん出てきています。ボツワナ、チリ、エクアドル、インド、メキシコ、ナイジェリア、ペルー、サウジアラビア、南アフリカ、UAE、そしてイギリスなどの国々です。

生活習慣病による死亡は経済的貧困層や低所得国に多く見られます。STAXはそのような人々や国々でより効果を発揮します。持続可能な開発目標(sustainable development goals: SDG)を達成するための有効な手段として、STAXは国連のハイレベル会合でも推奨されるようになりました。

STAXは経済的な有益性ももたらします。2001年にタバコとアルコールに課税を強化したタイでは、毎年日本円で150億円もの予算が使えるようになり、健康増進に寄与しています。同様な政策を導入したフィリピンでは、4,000億円ほどの追加収入が得られ、その財源で貧困層の国民対象の保険事業に割り当てています。

また、この税制は逆進性があるのではないかとの批判もありました。しかし、これまでの研究結果から、これらの税制政策はむしろ累進性のものであるというエビデンスがあります。すなわち、低所得者に恩恵を与える税制なのです。近く日本で行われる予定のG20サミットで、この政策の導入が話し合われ、世界に広がることを期待します。

文献

Fuchs A, Carmen GD, Mukon AK. Long-run impacts of increasing tobacco taxes: evidence from South Africa. Washington, DC: World Bank Group, 2018.

image by: shutterstock.com

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