四条通の西の端。平安の古より鎮座する社で「延命長寿」の水を

 

京の都を東西に走る四条通りの西の端に、平安時代以前から鎮座する古い神社があります。後に作られたモダンな庭園ですら、平安の世を想起させる…、そんな空気が流れる場所なんだそうです。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では、著者で京都通の英学(はなぶさ がく)さんが、「松尾大社」のいくつもの見どころを紹介しています。

松尾大社

阪急嵐山のひとつ前の松尾大社(まつのおたいしゃ)駅の目の前に松尾大社があります。賑やかな嵐山とは対照的なとても静かで荘厳な雰囲気の由緒ある神社です。本殿の屋根は「松尾造り」と呼ばれる独特の建築様式を持っているので注意して見てみて下さい。

松尾大社は京都の中心部を東西に走るメインストリート四条通の西の端に位置しています。京都盆地の西の端です。ちなみに東の端は八坂神社の西楼門の石段下です。多くの観光客で賑わう祇園商店街が東大路通に面している辺りです。

松尾大社本殿の背後にある松尾山の山頂近くに神が降臨するという岩・磐座(いわくら)があります。この岩は地元に住む人々が山の神として崇め、信仰してきたものです。この辺りを支配していた秦氏が「磐座」の神霊を勧請し、701年に社殿を建立したとされています。御祭神は大山咋神(おおやまぐいのかみ)と中津島姫命(なかつしまひめのみこと)です。

駅を降りて「一の鳥居(大鳥居)」をくぐり表参道を歩くと奥に「二の鳥居」が見えてきます。この鳥居には特徴があります。見上げると、脇勧請(わきかんじょう)と呼ばれる榊の束が鳥居にぶら下げられています榊には穢を祓う力があるといわれています。大昔の神社では境内の大木に榊を吊り下げて神域と人の結界としていたようです。これが後に鳥居となったと伝えられています。

榊の束は12個閏年は13個)吊り下げられます。昔は榊の枯れ方によって月々の農作物の出来具合を占っていたようです。榊が完全に枯れると豊作で、一部が枯れ残ると不作と判断されていたとか。かつての風習の名残りを松尾大社の鳥居では見ることが出来るのはとても貴重です。

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