暴力だけではない。親の暴言でも子供の脳が変形するという悲劇

 

では、マルトリートメントは子どもにどういう影響を及ぼすのでしょうか。私は小児神経科医として子どもの発達に関する臨床研究を続けてきましたが、長年のリサーチから見えてきたのは、大人の不適切な関わりによって子どもの脳が変形するということでした。つまりマルトリートメントによって、子どもの脳が物理的に傷ついてしまうのです。

ヒトの脳は生まれた時には300グラム程度ですが、時間をかけて少しずつ成熟していきます。その発達過程において特に大事な時期が、胎児期、乳幼児期、そして思春期です。これらの初期段階に、親や養育者から適切なケアや愛情を受けることが脳の健全な発達に必要不可欠なのです。

しかし、この大切な時期に極度のストレスを感じると、子どものデリケートな脳はその苦しみに何とか適応しようとして、自ら変形をしてしまう。その結果、脳の機能にも影響が及んで子どもの正常な発達が損なわれ、それがその人の生涯にわたって影響を及ぼしていくのです。

脳が受けるダメージは、「視覚野」「聴覚野などにも及ぶそうです。

文献

THE BRAIN SCIENCE OF MALTREATED CHILDREN AND YOUNG ADULTS

image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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