イオンが不振にあえぐ中、「業務スーパー」に客が殺到する理由

2018.09.18
 

「宝探し」にも似た、ユニークな商品発見の楽しみ

業務スーパーの魅力はなんといっても、他の店では買えないユニークな品揃えだ。

 「世界の本物を直輸入」をコンセプトに、約40ヶ国からその国の本場の商品を直輸入している。他社の輸入専門食品店よりも圧倒的に安く、被る商品ラインナップも少ない。

また、同社は自社工場を有しているため、チャレンジングな商品開発が可能だ。

例えば、牛乳パックに入った水ようかんや、豆腐パックに入った冷凍チーズケーキなどは、おそらく外部のメーカーに依頼しても断られると思うのです。常識では考えられないような発想と、安価な食品ということで近隣のお客様、ネットユーザーが体感しやすいことが、受けているのではないでしょうか(同社・広報)

牛乳パックのデザート豆腐パックの冷凍ケーキなどは、安売りするにはこういう手があったのかと目からウロコの業務スーパーを象徴する商品である。製造ラインから見直して、豆腐がつくれるならチーズケーキはできないかと、柔軟に発想しなければ絶対に生み出せない。

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ユニークな牛乳パック入りスイーツ。裏にはアレンジ用にレシピの一例も載せている

牛乳パックに入ったスイーツは、水ようかんの他にもプリン、杏仁豆腐など種類も豊富で、SNSにレシピを投稿する人も、アレンジして見栄えが格段にアップした自作デザートとの対比を、強いインパクトで示すことができる。

他に、売れ筋の人気商品は輸入物ならば、ブラジル産鶏もも正肉、カットトマト缶、ホールトマト缶、スパゲッティ各種、ベルギー産フライドポテトなど。自社グループの商品ならば、徳用ウィンナー、天然酵母食パン、冷凍讃岐うどんなどがある。

特に、冷凍讃岐うどん5食入りが税別147円で販売。破格に安いだけでなくコシのあるうどんで、ゆで時間も短くて料理の時短にもなる、ロングセラー商品である。

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人気のロングセラー商品、冷凍「讃岐うどん」

また、吉備高原どり、上州高原どりは、自社グループ会社にて飼育から加工処理まで一元管理され、鮮度に自信のある安全・安心な商品とのこと。工場近隣の地域では、加工後24時間以内に店頭に並ぶ新鮮さも売りとなっている。

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上州高原どりの特設コーナー

現在、同社は中国に2ヶ所の工場を持ち、ジャム、漬物、煮豆などを生産している。海外では中国以外に自社工場を持つことはあまり考えていないが、約40ヶ国に協力工場を散らしているのは、カントリーリスクを回避するためでもある。2008年の年初に発生した中国毒入り餃子事件は、「業務スーパー」にも多大な影響を及ぼした。以来、中国の生産拠点に依存する体制を改めて、さまざまな国を開発するようになった。

自社内の厳しい検査体制に関しては、適時ホームページなどで情報開示してきた効果もあり、14年のマクドナルド中国産鶏肉使用期限切れ事件の後では、ほとんど影響が出なかった。

海外直輸入アイテム数は約1200。そのうちアジア74%、ヨーロッパその他22%、アメリカ・南米4%となっている。

M&Aにより国内の自社工場も増えて力を付けつつある。現状は18社21工場で、200アイテムを生産しているが、さらに強化していく方針だ。

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