イオンが不振にあえぐ中、「業務スーパー」に客が殺到する理由

2018.09.18
 

ほとんどが「FC店」、外食分野にも進出

業務スーパーの店舗は、直営が2店のみ残りはFC店である。出店の費用はFC加盟店の負担となるため、直営店では考えられないスピードで出店を重ねることができる。自社で製造、輸入している商品のオリジナリティの高さ、徹底したローコスト・オペレーションも、FCオーナーの増加につながっている。神戸物産は商品の製造・卸とFC店の監督及び指導を行っている。

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FCオーナーは全国で約100社。業種はホームセンター、酒屋、ドラッグストア、物流会社などさまざまである。基本フォーマットでは生鮮品を扱わず、賞味期限の長い常温冷凍の商品が多いので、スーパー経営の経験がなくても商売が始めやすいシステムが構築されている。

FCの加盟条件は地域により異なるが、関東の首都圏1都3県、関西(淡路島を除く)などで、加盟料216万円(税込)、保証金1000万円、ロイヤリティが仕入れの1%、発注システム使用料が月額3万857円(税込)となっている。保証金は結構取るが、ロイヤリティが低くランニングコストが抑制されている。設備費は、店舗物件により変わるが2000~2900万円が目安である。

ホールセールということでアメリカから上陸した「コストコ」ともよく比較されるが、業務スーパーは「コストコ」のように会員にならなくてもよく、店舗の大きさも一般の食品スーパー並みで、巨大な店ではない。広域から集客するのではなく地域密着型である点も異なり、同社では全く違う業態と考えている。

2013年に居酒屋村さ来」、回転寿司「平禄寿司」などを経営する、外食企業ジー・コミュニケーション(本社・名古屋市北区)を傘下に収め、外食でも製販一体を目指している。

しかし「必ずしもそこにこだわらず、外食市場の動向やお客様のニーズを探りながら、魅力のあるメニューやサービスを提供したいと考えている」(同社・広報)とのこと。

外食に関してはジー・コミュニケーションのほうが経験も豊かなので、基本的な経営方針に口を挟まず任せているそうだ。

さらなる発展に死角はなさそうだが、「現在のところ、物流やIT活用に特筆すべきことはない」(同社・広報)らしい。逆に言うと、ここを強化すればさらに効率的な経営ができるはずで、利益率が高まる余地を残していると言えるだろう。 

photo by: 長浜淳之介

長浜淳之介

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

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兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

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