「離婚したら元配偶者の年金を半分もらえる」は本当なのか?

 

按分割合は下限20%(→0.2)<按分割合≦上限50%(→0.5)の間で決める

20%というのは、夫婦の標準報酬総額の1億円に対し、妻の2,000万円が占める割合。つまり分割される側の妻の報酬総額を下限として、その下限より上の分割割合で決めて50%を上限にしてくださいねって事。まあ、離婚分割を希望する夫婦の9割以上は50%で決着してますけどね…。

上限の50%で1億円を分割するとなれば、お互い5,000万円ずつになりますよね。夫の対象期間標準報酬総額は3,000万円減って5,000万円になる。一方、妻は3,000万円増えて5,000万円になる。夫婦が望んだ按分割合50%通りに分割されました。

この時、夫の8,000万円から3,000万円が妻に分割されたという事になりますよね。3,000万円というのは、8,000万円に対して0.375(→3,000万円÷8,000万円)の割合が分割されたわけです。

どういうことなのか。

按分割合通りの離婚分割を実行するために、「改定割合」という数値を求めないといけないんですね。その改定割合というのがさっきの0.375。この0.375を求めるために、以下のような計算をします。

・改定割合→按分割合0.5(50%って事)-(妻の報酬総額2,000万円÷夫の報酬総額8,000万円)×(1-按分割合0.5)=0.375

となります。この0.375を夫婦の報酬総額に掛ける。

・分割する側である夫は、8,000万円×(1-0.375)=5,000万円

8,000万円を1として、0.375の割合を分けますよ! っていう意味。お給料総額が5,000万円に減ったら厚生年金総額は概ね274,050円(→5,000万円÷1,000×5.481)。

・分割される側の妻は2,000万円+8,000万円×0.375=5,000万円

夫の8,000万円から0.375の割合を頂戴します! って事。つまり、按分割合50%通りに年金分割できましたって事です。

按分割合が0.5(50%って事)なのに、改定割合が0.375となって下がってる! 按分割合通りになってないやんかo(`ω´ )o! というわけではなく、改定割合というのは「元夫婦が決めた按分割合通りに分割するために求める数値」なので、全く別物と思ってもらったほうがいいですね。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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