中国は、なぜトランプ相手の「貿易戦争」で絶対に勝てないのか?

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米中貿易戦争が激しさを増しています。お互い一歩も譲らぬようにも見えるこの争いですが、「中国はなんとか妥協点を探ろうと必死」とするのは台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』でその理由を解説するとともに、習近平国家主席が自らの威信を内外に示さなくてはならない事情についても記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年9月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】建国70周年を迎える中国は米中貿易戦争に絶対勝てない

米、2千億ドル対中制裁を24日発動 中国報復なら「2,670億ドル追加」

アメリカ時間の9月17日、トランプ政権は知的財産権侵害を理由として、2,000億ドル相当の輸入品に対して10%の追加関税措置を課す対中制裁を24日から発動すると発表しました。そして来年には追加関税を25%に引き上げるとしています。この発表は、18日朝のNHKでも速報で報じられていました。

すでにアメリカは約500億ドルの制裁を発動しており、今回の制裁措置は第三弾で、これにより中国の昨年の対米輸出額5,050億ドルの半分が追加関税の対象となります。もちろん中国の反発は必至ですが、もしも中国が報復措置を行った場合、新たに2,670億ドル相当の新たな制裁を検討するとしています。

この新たな対中制裁については、中国がこれまでも強く反発し発動をやめるように牽制してきました。ウォールストリートジャーナルによれば、中国の劉鶴副首相とアメリカのムニューシン財務長官との会談が今月の27~28日の日程で調整されていたそうですが、もしも制裁が発動されれば協議を拒否すると表明していたそうです。

中国が猛反発、協議拒否と報道 米紙

しかしアメリカはそうした中国側の脅しにも屈せず制裁を実行しました。以前のメルマガでも紹介しましたが、結局、貿易額からしてもその中身からしても、制裁合戦をしたところで大きなダメージを受けるのは中国のほうだからです。アメリカは中国にとって最大の「お客様」なのですから、喧嘩をしても損をするのは中国なのです。

しかも、中国がアメリカから輸入している製品にしても、これに関税をかけて苦しむのは、アメリカよりもむしろ中国です。ハイテク分野では、CPUやシリコンウェハーといった中心技術はアメリカや日本が握っているため、中国がこれらに関税をかければ、中国の通信メーカーが大きな打撃を受けます。

また、中国はアメリカの大豆やトウモロコシといった家畜飼料の最大の輸入国です。これらに関税をかければ、中国国内の食肉などの畜産品価格が高騰することは目に見えています。

一方で中国にとって最大の輸出国であるアメリカですが、もっとも輸出されているのが携帯電話です。ファーウェイやZTEといった中国メーカーのスマートフォンについては、アメリカではデータが勝手に中国へ転送されているということで、公務員の使用が制限されています。

また、中国で作られるアップルのiPhoneなどは今回の制裁対象に含まれていないということもあり、アメリカのダメージは限定的です。アメリカは当然、そうした中国の弱みがわかっていて制裁を課してきているわけです。

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