台湾人「外交官」を自殺へと追い込んだ、中国の卑劣な偽ニュース

 

これを受けて、台湾側も素早く反応しました。上記サイトの報道を引用します。

台湾のネットユーザーはSNSを中心に、台湾外交当局に対し「なぜ(中国は動いたのに)駐日代表処は動かないのか」と批判を展開。主要な台湾メディアも、新聞・テレビ・ネットで真偽不明と断りを入れつつも中国旅客が優先的に避難し、大阪弁事処が何も対応できていないと報道を展開した。

 

報道の盛り上がりを受け、台湾の政治家はすばやく反応した。最大野党・中国国民党の立法委員(国会議員に相当)らは6日、独自に外交官僚を招聘して公開ヒアリングを実施。台湾の駐日代表処と中国大使館の比較を通し、いかに準備が不十分だったかを質問した。

日本の報道では、こうした台湾政府に過剰な要求をする台湾市民を『モンスター選挙民』、過剰な反応を示す世論を『モンスター世論』と呼んでいます。

台湾・大阪処長を自殺に追いやった「モンスター世論」と深刻与野党対立 台風対応を指弾され…

その『モンスター世論』によって、責任は自分にあると思い込んだ蘇氏は、思い詰めて自殺をしたということです。確かに、台湾人と中国人の間にあるライバル意識は根深いものがあり、何かにつけ、互いに競っている面はあります。今回はそんな心理を利用されたとしか言えません。

中国は中国人専用バスをチャーターして自国民を救助したと言われれば、台湾だって負けてはいられない、台湾政府も台湾人を救う行動に出るべきだ。今の台湾人の思考回路は、そう考えるようになっています。

しかし、報道によれば実際は中国人専用バスのチャーターはなかったそうです。以下報道を引用します。

政治家の発言やニュース報道の内容について事実関係を検証する「ファクトチェック」を行う「台湾ファクトチェックセンター」は、日本の提携団体「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」を通じて、関空の運営会社に事実関係を確認しているとし、続いて、関空側は、バスの扱いについて、

 

  1. 中国の総領事館から関空にバスを乗り入れたいという要望はあったが、断った
  2. すべての乗客を国籍関係なく関空のバスで目的地に運んだ。中国の乗客は、航空会社の誘導もあって、まとまってバスに乗った
  3. 目的地は原則として泉佐野駅だったが、中国の乗客は非常に人数が多いので、中国の乗客を乗せたバスだけ泉佐野市内のショッピングモールの駐車場を目的地にした
  4. 中国の総領事館が手配したバスは、この駐車場に待機していた

などと説明したという。

それなのに、一度流出した偽情報はどんどん拡散し、以下のような内容を伝えながら独り歩きしました。

中国のニュースサイト「観察者」は、ネット上の声を引用しながら、

 

  1. 中国総領事館は15台のバスを関空に送り込んだ
  2. 台湾人も一緒に乗れるかと聞いたところ、帰ってきた答えは『自分が中国人だと思うのならば乗れる』というものだった

などと伝え、この2点は台湾メディアでも拡散された。中国語圏のネットでは、中国が迅速に自国民を優先的に脱出させることに成功したとして賞賛の声があがり、それと対比させる形で、台湾当局への批判も相次いだ。

台湾「総領事」自殺の背景 中国報道きっかけにバッシング、しかし…

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