元凶は経団連。日本にアップルもアマゾンも生まれない当然の理由

 

「経団連には国家観も国民を納得させる経済政策も感じられない」という笹川氏の評価について、中西氏は自らの政府有識者会議における経験をもとに、以下のように書く。

日本の高度経済成長を実現した経済モデルとは全く違った新たな取り組みを、国を挙げてやっていくことが重要だと考えています。…私自身、内閣府「総合科学技術イノベーション会議」の議員として、また「未来投資会議」の議員としてデジタル化を真正面に捉えた経済政策を政府、官邸に提言し…経団連の最重要施策として推進する方針を作って参りました。それが経団連の最重要方針“Society 5.0”の実現です。

役所とグルになって既得権を死守していると見られがちの経団連。そんなイメージを払拭したいのだろうか。「高度経済成長を実現した経済モデルとは全く違った新たな取り組み」が必要だと、ビジネスモデルの大転換をはかるかのごとく言う。そして、「Society 5.0」なる未来社会のキャッチコピーで笹川氏の疑念を跳ね返す。

ほんとうに経団連が“旗振り役”になって、そんなことがスムーズに進むのだろうか。

狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、新たな社会のことを「Society 5.0」と言うらしい。内閣府の第5期科学技術基本計画に盛り込まれている。

Society 5.0で実現する社会は、IoTで全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され…これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供され、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。
(内閣府ホームページより)

工場の機械化が第1次産業革命、電力を用いた大量生産が第2次産業革命、電子工学や情報技術を用いるようになったのが第3次産業革命。内閣府はそれに続く、技術革新としてIoTやAIをあげ、「第4次産業革命と呼んでいるが、もちろん、これが「Society 5.0」に対応するということだろう。

官民あげて未来社会づくりにまい進するのはいい。ただ、経団連がこの分野に余計な口出しをして、個人や零細企業のチャレンジを潰しはしないかと心配なのだ。

世界を見渡すと、全工程を一つの企業に集める垂直統合型の企業構造を拡大してきた日本の大企業が、自社工場を持たないアップルに代表される水平分業型ビジネスへの移行に対応できず、シェアリング・エコノミーやフィンテックといった流れにも著しく立ち遅れている現状がある。

業界横並びやリスク回避指向の強い大企業が、政府の過保護に頼って生きのびてきた結果、必要な淘汰や世代交代が進まなかったことも、原因の一つとしてあげられるだろう。

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