当然、このような状況を打開し、先進国としての輝きを取り戻したいからこそ、経団連は「Society 5.0」を掲げるのだろうが、そもそも、いい年をしたお歴々の発想など、たかがしれている。
現在、経団連の会長・副会長は19人、審議会議長・副議長は20人いるが、彼ら39人のうち社長が10人で、あとは会長、相談役、顧問である。肩書こそ見るからに重厚なメンバーだが、このなかに何人、変革スピリットを持つ人がいるかと思うと、ため息しか出ない。
彼らをサポートする経団連事務局の、官僚ならぬ「民僚」と呼ばれる連中も、聞くところによると、IoTやAIについて深い知識は持ちあわせていないようだ。
そのうえ、しばしば聞くところでは、大企業の社長は社内にいつまでも居座って経営に口出しする相談役や顧問らの顔色をうかがい、リスクをとってチャレンジしようとしないし、かつての創業社長が持っていた起業家精神がみなぎっているわけでもない。
経団連は社長とOBの親睦会ていどにおさまっていてくれればいいものを、官庁から呼ばれて有識者会議に参加したり、政治家に献金したりして、要らぬ政治力を持ち、結局のところ、官民で何を決めるにも、悪しき先例主義や既得権維持に縛られてしまう。
政府がやるべきなのは、経団連のメンバー企業のために研究開発減税などの特別扱いをするのではなく、チャレンジャーが生存できる環境を整えることである。
起業には失敗がつきものだ。経団連としても、起業して失敗した人の再就職を受け入れる企業風土づくりなど、できることは他にあるのではないだろうか。
image by: 首相官邸