孤立に進んだ日本
日本は、どうなのでしょうか?明治維新以降、驚異の成長をつづけていた日本。
1905年、日ロ戦争に勝ち、世界を仰天させました。しかし、その後、日本は破滅に向かっていきます。まず05年当時、日本は、アメリカ、イギリスと非常にいい関係にあった。当時、「アジアの平和は、日本、イギリス、アメリカの事実上の同盟が守る」などといわれていた。日ロ戦争も、私たちのご先祖様が死力を尽くして戦ったこともそうですが、同盟国イギリスの支援、アメリカの財政支援が、大きな助けになって勝てたのです。
しかし、日本はこの戦争後、非常に大きな戦略ミスを犯します。アメリカの鉄道王ハリマンが日本に、「満鉄を共同経営したい」と提案。日本は、これを断った。(1つ目の間違い)。これが、なぜ「戦略ミス」だったのか?
日本最大の仮想敵は、ロシア、後ソ連の南下政策でしょう?もしアメリカを満州に入れておけば?ロシアが南下してきたら、アメリカも対応しなければならなくなる。日本は、相当楽になったはず。ところが、日本は、このオファーを断った。アメリカは、「日ロ戦争に大金を出したが、見返りは何もなかった」と激怒。これで、日米関係が悪化した。
次に、第1次大戦時。日本の同盟国イギリスは、非常に苦しく、日本に陸軍の派兵を要請します。日本は海軍を出し、こちらは大活躍した。しかし、陸軍は一兵も出さなかった(2つ目の間違い)。これで、イギリスは、「日本と同盟している意味はない!」と激怒。日英同盟は、破棄されることになった(1923年)。これで、日本はアメリカ、イギリス二大国との関係が悪くなった。
そして、1932年。日本は、満州国を建国。中国とソ連は、もちろんこれに不満でした。この時点で日本は、アメリカ、イギリス、ソ連、中国を敵にまわしています。1933年、日本は、国際連盟を脱退(3つ目の間違い)。ますます孤立していきます。そして1937年、日中戦争がはじまった。中国は、アメリカ、イギリス、ソ連から支援を受け、日本と戦っている。こんなもん、勝てるはずがありません。はっきりいえば、この時点で日本の負けは決まっていたのです。
何が問題だったのか?国際的に孤立したこと。
日本には、「もっと強気がガンガン国益を主張しろよ、こら!」と、勇ましい人たちがいます。日本は、戦前、見事に国益を主張していたのです。
アメリカが、「満鉄を共同経営したい!」
日本、「わが国の国益にあわないから、お断りだ!」
イギリス、「ドイツの猛攻で苦しい。陸軍を送ってくれ!」
日本、「それはわが国の国益にあわないから、お断りだ!」
国際連盟「日本国の経済的利益は尊重するから、満州国ではなく中国領内の自治政府ということにならないか?」
日本、「それはわが国の国益にあわない。国際連盟は脱退させていただく!」
日本は、当時常に、「ジャパン・ファースト」でやっていました。その結果が孤立であり、破滅です。