意味不明。消費増税で中小の小売店に「ポイント還元」という愚策

reizei20181016
 

10月15日、予定通り2019年10月からの消費税10%の増税を表明した安倍総理。さらに対象を中小小売店に限りキャッシュレス決算を条件に、増税分の2%をポイント還元するとの案も発表されましたが、これに異を唱えるのは、米国在住の作家・冷泉彰彦さん。冷泉さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、この政策について「意味不明であり効果は疑問」とし、そう判断する根拠を記しています。

中小小売店にポイント還元補助金、効果は疑問

安倍総理が2019年10月に「消費税率を10%にアップ」という発表を行いました。その直後に、麻生財務財務大臣は記者会見で、2%になる消費税増税分と同じ額を「ポイント還元する制度を発表。対象は、中小の小売店に限るとして「資本金1億円程度までの企業や小売店」が対象となるということです。

この政策ですが意味不明ですし、効果は疑問だと思います。

まず中小の小売店というのは、地元に根ざしています。どうして地元に根ざしているのかというと、高齢者の徒歩圏だからです。例えば、地方でも現役世代であれば、少しでも安い価格を求めて国道沿いのイオンとか、もっと安いトライアル、あるいはDIY店とかに行くでしょう。

首都圏でも少し郊外に出れば、軽四で国道16号線沿いの量販店に買い出しに行くような人は多いと思います。ですから、地元に根ざした中小の店というのは、高齢者が徒歩で買い物に来るというのがメインの商売だと思います。

そこに「キャッシュレスを導入したら、ポイント2%還元分を補助する」という政策を押し付けるというのは、まるで「キャッシュレスが進んでいないということを罰するかのようです。

どういうことかというと、高齢者をキャッシュレス支払いを誘導するには、シンプルな専用アプリとか、簡単に加入できる会員制度などが必要で、現状のままでは「2%で釣っても効果が限定的と思われるからです。

さらに言えば、ポイント還元分は補助があるにしても、クレジットカードの場合は3%前後の手数料は加盟店負担であり実質の減収になりますし、そもそも売上代金の回収までの期間をつなぐ資金繰りの問題も出て来ます。非接触式なども対応するとなると、端末コストもバカになりません。

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