一方で、前回の消費税アップの際には「還元セールを禁止」という措置が取られて、それが「消費の巨大な反動落ち込み」の原因になったわけです。今回の「2%還元」は、その反省を踏まえているわけですが、では「中小には補助金を回して2%還元」をさせる分、大手にはどうするのかというと、特に禁止はしないと思います。反動消費減が怖いからです。
ということは、大手は自己資金で「2%還元」とか、それこそ「2%+アルファ」の還元もやる可能性があります。そうなると、消費の主力である現役世代は、大手の店へ行きますから、せっかく政府が中小商店を救済しようとしても、効果は限定的と思われます。
もしかすると、財務省は「そんなことは百も承知」の上なのかもしれません。大手小売チェーンのキャッシュレスは進むだろうし、インバウンド需要を多く抱えている店は、中小でもどんどん導入する中で、最もキャッシュレス導入が難しい「高齢者の徒歩圏を商圏にした」中小小売を、この「増税」のタイミングでキャッシュレスに対応させようというのです。
アベノミクスの出口戦略でインフレが進む中で、年金支給抑制、医療費自己負担増という変化に直面して、実質の可処分所得の目減りに直面している高齢者市場は、難しさを抱えています。そんな中で、今回の施策が結果的に中小小売店の衰退を加速させるようでは本末転倒ではないかと思います。
高齢者徒歩圏市場など、中小の小売店におけるキャッシュレス導入を促進するのであれば、端末代や移行時の資金繰り、そしてそれ以前の手数料問題に関して、「零細な経営によりフレンドリーな決済ビジネス」を育成するという発想法が一番大切だと思います。
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