真相を語りだした財務局OBたち。誰が職員を自殺に追い込んだのか

 

近畿財務局では昨年2月以降、決裁文書などの改ざんが進められていた。

財務省によって今年6月4日発表された「決裁文書改ざん調査報告書」によると、昨年2月17日の衆議院予算委員会で安倍首相が「私や妻がかかわっていたのであれば、総理大臣をやめる」と答弁したのがきっかけとなり、「本省理財局の総務課長から国有財産審理室長および近畿財務局の管財部長に対し、総理夫人の名前が入った書類の存否について確認がなされた」という。

佐川局長は、総理夫人の関与が疑われる文書の無いよう、祈るような気持ちで総務課長に確認を命じたであろう。

だが、不安は的中した。近畿財務局の決裁文書のなかから下記の文面が確認された。

平成26年4月28日 (森友学園との)打ち合わせの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との発言あり。

首相夫人の関与があったと思われても仕方のない内容だ。国有財産審理室長は総務課長に相談したうえで佐川理財局長に報告した。佐川氏の驚愕が次の記述から伝わってくる。

理財局長はそうした記載のある文書を外に出すべきではなく、最低限の記載とすべきであると反応した。具体的な指示はなかったものの、総務課長と国有財産審理室長は決裁文書の公表を求められる場合に備えて記載を直す必要があると認識した。

「記載を直す」。すなわち決裁文書の改ざんだ。佐川理財局長が「最低限の記載にすべき」と言えば、そういう意味に受け取るだろう。

総務課長らが佐川氏の言うことを聞かざるを得ない背景に、安倍首相の進退がかかっているという事情があった。

筆者は、佐川氏が官邸の意思を確認しその了解のもとに改ざんを命じたと見ている。

テレビ出演した財務局OBの誰もが「官僚だけの判断で改ざんはあり得ない」と口を揃えた。彼らも最高権力の介入を感じたのだろう。

改ざんに関ったのは、財務省理財局と近畿財務局合わせて10人くらい、といわれる。

当初、近畿財務局の職員たちは本省の指示に反発した。「そんなこと、できるわけがない」。彼らの言い分が正論であることは本省の担当者にも痛いほどわかる。

しかし、結局は、首相夫人や政治家の名を挙げてあの異例な国有地売却の経緯を記録したことが「詳細すぎる」と問題になり、本省上層部の力に財務局が屈するかたちとなった。14の決裁文書のところどころに理財局側がマーカーで線を引き削除箇所を指示したという。

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