解決済みとばかりにすっかり報道されなくなった森友学園を巡る文書改ざん事件に、新たな動きが出てきました。問題の渦中に自殺に追い込まれた近畿財務局職員を知るOBたちが立ち上がり、真相を語り始めたのです。元全国紙社会部記者の新 恭さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』でこの動きを詳報するとともに、政府の隠蔽体質をいっそう強める安倍首相と麻生大臣の同盟関係を強く非難しています。
近畿財務局OBの証言から浮かぶ職員自殺の真相
森友疑惑をめぐる前代未聞の財務省文書改ざん事件で、新しい動きが出てきた。
安倍首相夫人らの関与の記録を公文書から消し去る不正行為を押しつけられ、54歳の近畿財務局職員が自殺に追い込まれたこの事件。
トカゲの尻尾切りで幕引きをはかる政権の思い通りにさせてはならないと、近畿財務局のOBたちが立ち上がり、野党のヒアリングやテレビ局のインタビューに応じ始めたのだ。
テレビ東京が、OBら6人へのインタビューと、自殺した職員の父親の告白を9月25日に放映したのが発端となった。
10月25日には、立憲民主党など野党合同のヒアリングを受けたあと、6人の元職員がテレビ朝日に向かい、かつての同僚の死にまつわる財務省の不条理を告発した。
自殺した職員、Aさんは高校卒業後、国鉄に勤めたあと大蔵省に転職。本省勤務を経て近畿財務局に赴任した。
亡くなった当時の役職は上席国有財産管理官。森友学園との間で国有地売却の交渉にあたっていた。この問題をめぐり、本省から指示を受ける窓口にもなっていたようだ。
Aさんはおそらく、安倍首相夫人の名前を記録した決裁文書の書き手、もしくは記載に関わった職員であろう。それゆえに官邸の意向を怖れる佐川宣寿理財局長の怒りを買い、改ざんを押し付けられたのにちがいない。
国有財産の鑑定などを担当したAさんの元同僚、喜多徹信氏はテレビ東京のインタビューで、現役の近畿財務局職員2人と電話で話した内容をこう証言した。
「(Aさんは)改ざんとかの仕事をやらされ、100時間を超えるような残業時間になり、ずっと追い詰められて、そして顔が変わってしまったと聞いた」
岡山県に住むAさんの父親にはレポート用紙7、8枚にわたる遺書が残されていた。父親は言う。
「上司に言われた通り報告書を書き換えさせられたという内容が書いてありました。自分ひとりで別に責任を負う必要はないのに、なんで死なないといけなんだのか」
今年2月半ば、実家に帰省した息子とコタツで話したのが最後となった。それから間もない4月7日、Aさんは神戸市の自宅で命を絶った。