確かに業界も困惑しているだろうが…
【読売】は1面左肩に3面の解説記事「スキャナー」。見出しから。
1面
- 介護6万、外食5.3万人
- 外国人材 2号は「建設」「造船」
3面
- 外国人材 急場の試算
- 14業種人数 根拠示されず
- 人手不足の業界歓迎
- 条件、教育…政府に注文
uttiiの眼
3面「スキャナー」の見出しが「外国人材 急場の試算」となっているように、昨日の「受け入れ見込み数」の発表に対しては、さすがの《読売》も批判的なトーン。ただし、その批判は、業界団体の不満に気持ちを寄せた結果のように見え、「算定の基準や根拠は不透明で、業界団体からは新制度に対する注文も相次いでいる」とリードにあるように、制度の曖昧さが、人手不足解消を新制度に期待する業界を当惑させているというタッチ。業界は可哀想…なのか。
曖昧さの第一。政府は受け入れ見込み数は示したが、その積算根拠を示さなかった。第二。法改正が成立した後に政府が「運用方針」を決めようとしていることに対し、与党さえ不信を抱いているらしいこと。そして、「見込み数」については当面「受け入れ上限」にする考えを表明しているが、「運用方針」次第で数字も変わりうること。その他にも、人手不足が解消した場合に受け入れを停止する仕組みが不明であること、業者ごとに細かく「受け入れ分野」を指定する方針とされているが、その全体像は全く明らかになっていないなど。困惑させられる材料はいくつもある。
業界の関心は、人手不足解消によって、落ち込んだ営業利益を回復させることが第一だろうが、さらに次のようなこともあるようだ。「労働需給が緩み、人件費負担を軽減できるとの思惑もある」と《読売》は書いているのだが、このカチカチの表現の中身は、労賃を下げても人が集まるだろうということに他ならない。外国人労働者の導入によろうがよるまいが、「人手不足解消」には、労働者の賃金を下げる効果があるということだ。これは覚えておかなければなるまい。
それにしても、記事を通して、日本に働きに来る労働者には一掬の同情さえ示さないのはどういうわけだろうか。超いい加減な制度によって呼び寄せられ、不安定な状態のまま、もしかしたら低賃金で現場に投入されることになる働き手たちは、1人1人生身の人間だというのに。