「上限はない」
【東京】は1面の左半面と、2面の解説記事「核心」その他。見出しから。
1面
- 外国人受け入れ 介護6万人
- 「14業種 5年で34万人」政府提示
- 根拠示さず野党が批判
2面
- 34万人 根拠あいまい
- 外国人労働者受け入れ政府試算
- 詳細見込み数 法務省「法案成立後に」
- 外国人労働者「上限超えも」 法務省
uttiiの眼
《東京》は、2面の解説記事の下に置かれたベタ記事に注目する。
法務省の担当者は衆院法務委での答弁の中で、今回の新在留資格による外国人労働者受け入れ見込み数については「大きな経済事象の変化があれば上限を超えることもあり得る」と発言したという。安倍首相が「上限」の運用について表明したばかりにも関わらず、その内容を否定しかねない。発言したのは佐々木聖子審議官で、審議官は「制度開始5年目の数字が上限となり、それを越えて受け入れることにはならない」と言っておきながら、「非常に大きな経済事象の変化があった場合には、(上限は)上にも下にも変わりうる」とも発言。
この種の発言には、よくよく気をつけなければならない。審議官は「上限」が上下にぶれる条件について、「非常に大きな経済事象の変化」としか言っていない。まあ、「非常に大きい」と言っているのだから、バブル期のような「沸騰するような好景気」か、逆にリーマンショックのような「凍り付くような不況」をイメージするが、これはなんとも言えない。具体的な「経済事象」を指摘していないので、実際にはもっと小さな変化でも、例えば「先手を打って」上限を調整することはあり得るのではないか。政府は、業界が欲するものに対応する必要があると考えているのだろうから、もっと色々な理由、例えば「賃金が高止まりしてなかなか下がらない」というような状況で、人を増やそうとする可能性もあるのではないか。審議官の言っていることを突き詰めれば、「上限はない」ということ以上でも以下でもない。
image by: 首相官邸