入管法改正案、外国人労働者受け入れ業種と人数の「乏しい根拠」

uttii20181115
 

11月13日、衆院本会議で審議入りした出入国管理法改正案。翌14日には同法案を巡り、政府が外国人労働者の受け入れ人数や対象業種を発表しましたがその根拠は明らかにされず、野党などからは批判の声が上がっています。この件について、新聞各紙はどのように報じたのでしょうか。ジャーナリストの内田誠さんが自身のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』で詳細に分析しています。

外国人労働者受け入れ見込み数を新聞各紙はどう伝えたか

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…「首相「2島先行」軸に」
《読売》…「平和条約交渉を加速」
《毎日》…「日航、飲酒で12便遅延」
《東京》…「日ソ宣言基礎に領土交渉」

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「北方領土 首相の決断」
《読売》…「外国人材 急場の試算」
《毎日》…「離脱交渉なお不透明」
《東京》…「34万人 根拠あいまい」

基本的な報道内容

菅官房長官は、政府が来年4月導入を目指す新在留資格のうち、熟練を認められ、長期の滞在が認められる「特定技能2号」については、現時点では「建設造船の2業種のみを想定していることを明らかにした。併せて、新制度全体では5年間で14業種の最大35万人を見込み、初年度は4万8,000人との試算も公表した。

「2号」の需要は本当にあるのか?

【朝日】は1面中央と2面のQ&A「いちからわかる」、4面に関連記事。16面社説。見出しから。

1面

  • 「熟練技能」建設と造船
  • 政府 新在留資格 絞り込み

2面

  • 新しい在留資格
  • 国会審議が始まったね
  • 「特定技能」をつくり、労働者の受け入れを広げるんだ

4面

  • 「熟練技能」ニーズ限定的
  • 「特定技能」対象業種発表
  • 人手不足の業界は歓迎
  • 技能水準 詳細なお不鮮明

16面

  • 入管法改正案 これでは議論できない

uttiiの眼

4面記事のリードは、今回の見込み数公表にまつわる最大の問題を端的に示している。「熟練した技能を持つ人に付与される『2号』の対象は2業種にとどまり、2号に比べ技術水準が低い『1号の労働者へのニーズが集中していることも明らかになった」としていて、新しい在留資格を作る狙いが「熟練労働者」ではなく、限りなく「単純労働者に近い労働者に集中、傾斜しているということだ。政府は「単純労働者を受け入れないというタテマエを保持したまま、各業界の労働力需要に応えようとした結果、タテマエを成り立たせる上でも、「熟練労働者」の「2号を設定せざるを得なくなったという理解だろう。ついでに言えば、「建設」や「造船」にしても、取りたてて「2号」が欲しいわけではなく、真の狙いは「1号」にあるはずだ。

2面記事の中に興味深い記述がある。野党のヒアリングで法務省が明らかにしたところによると、「2号」を想定した外国人労働者受け入れの対象業界が「建設」と「造船」だけになったことについて、「ほかに要望がないというのが理由だというのだ。浮かんでくるのは、「建設」と「造船」の「2号需要」なるものが、どれくらいリアルなものなのかという疑問だ。どの業界からも「2号要望」が上がらなければ、法務省官僚の立場はなくなるし、飽くまで「単純労働者は受け入れない」としている政府の立場も危うくなる。私が官僚なら、2つの業界に頼み込んで手を挙げてもらうようにするが、さて、実際はどうだったのだろう。

《朝日》は2面記事の後段で、技能水準の測り方について強い疑問を呈している。想定されている制度実施まで、残り4ヵ月ほどしかないというのに、各業界を所管する省庁で実施するとされている「試験がどのような内容と形式になるのか全く明らかになっていない。1号の希望者には「相当程度の知識または経験」、2号の場合は「熟練した技能」を持つか持たないかを判断する重要な「試験」の具体的な姿は、少なくともこれまで明らかにされてこなかった。山下法相は「所管省庁が緊密に連絡を取り合った上で今後決めていく」と答弁しているという。意味が分からない。

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