なぜ、日本の報道関係者はつきたくないウソを平気でつくのか?

 

それでは次に、「ねじれ」が生じると大統領の政策が実施しにくいかというと、ニクソン、レーガン、クリントンなどの有名で政策も多く実施されたといわれる大統領の時はいずれもほとんどすべて「ねじれ」状態でした。ねじれていなかったのは、あまり評判の良くなかったカーター大統領の時と、クリントンとオバマの一期目(4分の1)だけです。つまりアメリカでは「ねじれ」と「政策の実施」とはほぼ無関係であることがわかります。

報道関係者はなぜつきたくない嘘をつくのか?

アメリカの大統領と議会が多くの場合「ねじれ」ていること、それによっては大統領の執務にさほど影響を及ぼしていないことは、日本の主要メディア、記者、政治評論家などはよく知っていることです。知っていて「ねじれは大変だ」とニュース原稿を書き、解説をするのですから、それには意図があるのです。人間はだれしも「嘘はつきたくない」と思っているのですから、フェイクニュースを流したり解説したりするときにちょっとは迷うと思うのですが、それでもフェイクするのです。

報道に関係する人たちが、なぜフェイクなどするのでしょうか?それには二つの原因があります。一つは、日本では「人と同じことを言わないとバッシングを受ける」という文化があります。中間選挙が判明した直後、誰かが「ねじれ」と言ったら、他の人はそれに右へ倣えするということです。そして第二は「事実と違っていても、大袈裟に言うとか不安をあおった方が儲かる」という原則があるからです。台風でも大雨でも大袈裟に言うほど視聴率が上がるのは事実です。

でも、こんなことをしていたら徐々にメディアも信用を失うのは間違いありません。

事実、ニューヨークの株価は「ねじれ」の結果がでた時、大幅に値を上げました。もしアメリカ人が「ねじれは大変だ」と思ったら株価は上がらないでしょう。大統領、上院、下院が同じ党で占められているより、一部ねじれている方が政治がまともに進むことはよくわかっているからです。

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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