70年続く北方領土問題を2島だけ返還で終結させたいロシアの本音

kitano20181120
 

11月14日、日ソ首脳会談が行なわれ北方領土問題に新展開がありました。その「日ソ平和交渉条約をまとめた後、2島だけ先行返還」で合意という内容を受け、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、モスクワで28年間生活した経験から感じた「日ソの領土観」のズレを解説した上で、賛否両論が予想される今回の首相判断は現実的であるとの持論を展開しています。

安倍総理は北方領土【2島返還】の決断をした

皆さんご存知だと思いますが、非常に大きなできごとがありました。14日、シンガポールでプーチンと会った安倍総理が驚きの発言をしたのです。産経新聞11月14日に、総理の発言全文が載っています。

安倍晋三首相は14日夜、訪問先のシンガポールでロシアのプーチン大統領と会談した後、記者団に対し「平和条約交渉を加速させることでプーチン氏と合意した」と語った。発言の全文は次の通り。

 

「先ほどプーチン大統領と日露首脳会談を行いました。その中で通訳以外、私と大統領だけで、平和条約締結問題について相当突っ込んだ議論を行いました。2年前の(山口県)長門での日露首脳会談以降、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、元島民の皆さんの航空機によるお墓参り、そして共同経済活動の実現に向けた現地調査の実施など、北方四島における日露のこれまでにない協力が実現しています」

 

「この信頼の積み重ねの上に、領土問題を解決をして平和条約を締結する。この戦後70年以上残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく、私とプーチン大統領の手で終止符を打つ、必ずや終止符を打つというその強い意思を完全に大統領と完全に共有いたしました」

 

「そして1956(昭和31)年、(日ソ)共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させる。本日そのことでプーチン大統領と合意いたしました。(大阪市で開かれる)来年(6月)のG20(=20カ国・地域首脳会議)においてプーチン大統領をお迎えいたしますが、その前に、年明けにも私がロシアを訪問して日露首脳会談を行います。今回の合意の上に私とプーチン大統領のリーダーシップの下、戦後残されてきた懸案、平和条約交渉を仕上げていく決意であります。ありがとうございました」

この中で、「驚きの発言」はなんでしょうか?こちらです。

そして1956(昭和31)年、(日ソ)共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させる。本日そのことでプーチン大統領と合意いたしました。

日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」ことで、「プーチンと合意した」そうです。「日ソ共同宣言」とはなんぞや????毎日新聞11月14日に、説明が載っています。

◇ことば「日ソ共同宣言」

 

日本とソ連が戦争状態を終了し、国交を回復した宣言。1956年10月19日に鳩山一郎首相とソ連のブルガーニン首相がモスクワで調印。同年12月12日に発効した。平和条約交渉の継続を確認した上で

 

  1. ソ連は日本の要請に応えかつ日本の利益を考慮して、歯舞群島および色丹島を引き渡すことに同意
  2. ただし、これらの島は平和条約締結後に引き渡される

-と明記した。ソ連崩壊後の2001年、ロシアのプーチン大統領と森喜朗首相が署名したイルクーツク声明で宣言の有効性を確認した。

一言でいえば、「平和条約締結後に歯舞色丹島を返す」という宣言です。両国で批准されていて、法的効力があります。

安倍総理のこの発言がなぜ「驚き」なのでしょうか?そう、日本の立場はこれまで、「4島一括返還」だった。日ソ共同宣言は、「4島返還」に言及していない。「2島返還」なのです。

これ、日本側は「2島先行返還」といいます。つまり、「先に2島を返してもらい後で残りの2島を返してもらう」。一方ロシア側は、「2島返還で終わり」という立場。この辺は、これから調整するのでしょう。

何はともあれ、安倍総理が「2島返還」になったことで、批判されることが予想されます。

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