「ご褒美を約束」して子どもに良いことをさせてはいけない理由

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子どもが思い通りに動いてくれない。そんなとき、やってくれたら「××を買ってあげる」「△△をしてあげる」などのご褒美を利用してしまうことはありませんか? メルマガ『言葉の森 オンラインマガジン』では、結果に対しての褒美はいいが、褒美を利用して何かをさせることは避けるべきだと説いています。親が自分の子どもを「本当の良い子」に成長させるため意識すべきはどんなことなのでしょうか?

「良い子」とは少し外れたところにいる本当の良い子

良いことをした結果としてご褒美をあげるというのは、悪いことではありません。しかし、褒美をあげることを手段として良いことをさせるというのは、あまり良いことでありません。

結果としての褒美はいいのですが、手段としての褒美は良くないのです。それは、なぜかと言うと、褒美という報酬によって子どもをコントロールするようになるからです。

人間の本質は、自主性です。本来自主的な人間が、他人からのコントロールを受け入れることによって、自我が縮小し、自分に対する価値観、自分自身に対する尊厳のようなものが低下していくのです。自分に対する価値観が低下すると、それにしたがって意欲も低下していきます。すると、次に同じような行動をさせるためには、さらに大きな報酬が必要になってきます。

逆にもし報酬なしで、しかも困難なことを成し遂げたとすると、その子は自分の自我を拡大させます。すると、さらに難しいことにも挑戦したいという意欲を持つようになるのです。

子育てのコツは、結果を褒めることは良いが、褒めることを手段にし子どもをコントロールしようとしないということです。そして、褒めることについても、いちばん良いのは心からの感謝や賞賛であって、できるだけ物化しないものの方が良いのです。

犬や猫などの動物は、人間の与える手段によって行動をコントロールすることができます。犬や猫にとっては、それが嬉しいことでもあるので何も問題はありません。しかし、人間は、本質的に自分で自分をコントロールするという自主的な生き物です。

大人が考える「良い子」というのは、コントロールしやすい子という面があります。本当は、そういう「良い子」とは少し外れたところにいるのが、本当の良い子なのです。

子どもを素直な良い子に育てるのは基本ですが、素直すぎる良い子の場合は、できるだけ子どもの自主性に任せるようにすることです。その自主的な選択が子どもなりに合理的なものであれば、親の希望に沿わないときでもそれを認めてあげることです。

近回りで良いことをさせるよりも、遠回りで行った方が、長い目で見れば人間を成長させることも多いのです。

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