新聞社の記者、Francis P. Churchさんが書いた社説の和訳
バージニア、あなたのお友だちは間違っています。疑い深い年頃に特有の疑い深さの影響を受けているのです。見えるものしか信じないのです。そのちいさな頭で理解できるもの以外は存在しないと思っているのですよ。
バージニア、すべての人々の考えは、それが大人であっても子どもであっても、小さなものなのです。真実や知識の全てを把握するだけの知性によって測れば、この広い世界の中で、人は単なる昆虫、そう、まるでアリのような知性しか持ち合わせていないのです。
バージニア、サンタクロースはいるのです。目には見えないけれど、愛や、優しさや、誰かのために尽くす気持ちが存在するのと同じように。あなたもこういったことがどんなに豊かなもので、あなたの人生に最高の美しさと喜びを与えてくれることを知っているでしょう。
そうです!もしこの世界にサンタクロースがいなかったら、どんなにつまらないことか!それはこの世にバージニアがいないのと同じほどつまらないことです。そんな世界には、子どもらしい「信じる」気持も、私たちに生きる望みを与えてくれる詩も夢もありません。
目に見えるものにしか、楽しいと感じることがなくなってしまうのです。子ども時代を満たしてくれる外から包み込んでくれる光が消えてしまうことになるのです。サンタクロースを信じないなんて!
ならば妖精の存在も信じていないのですか。パパにお願いして全ての煙突を見張らせる人を雇い、クリスマスイブにサンタクロースを捕まえようとして、それでもサンタクロースが見つからなかったとしても、サンタクロースは街にやってきているのです。
なぜそうだと分かるのかって?サンタクロースを見ることは誰にもできないのです。でも、それでもサンタクロースがいないということにはなりえません。この世で最も本当のことは大人にも子どもにも見えないものなのです。芝生の上で踊っている妖精を見たことはありますか?もちろん、ないですよね、でも、だからと言ってそこに妖精がいないという証拠なんてないのですよ。
この世界にある、見えないものや見ることのできないものが持つ不思議な魅力の全てを知っている人も、いや、それら全てを想像できる人ですら、ただの1人も存在しないのです。
あなたが赤ちゃんのガラガラをばらばらにして、ガラガラと音を出すものを見ることができたとしても、まだそこにはベールに包まれた見えない世界があるんです。そしてそのベールは、最強の男が、いや、これまで歴史上最強と言われた人々が束になってかかっても破ることなんてできないのです。
唯一、信じる心、詩、愛、ロマンスといったものだけが、そのベールを押し開いてその向こうにある言葉に表せないほどの美しさや栄光を見せてくれるのです。
えっ、それって本当なのだって?ねぇ、バージニア、この世界には、これ以上に真実で永遠なものなんてないんですよ。サンタクロースがいないなんて!
なんてことでしょう!サンタクロースはいるのです。そして、永遠に生き続けることでしょう。バージニア、今から千年後、今から千年の十倍のまた十倍の後になっても、サンタクロースは子どもの心を喜びで満たしつづけるのですよ。
ご参考
●Yes, Virginia, there is a Santa Claus.(バージニアちゃん、サンタクロースはいるんだよ)
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