元CIA工作員が分析。中国対策で「安倍プーチン」急接近の皮算用

kitano20181127
 

日ロ両国が北方領土問題で歩み寄りを模索している背景には、やはり台頭する中国への対抗手段という側面も大きいようです。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、元CIA工作員グレン・カール氏の見解を引用しつつ、「アジアの地政学的変化」がプーチン大統領の「北方領土政治的利用手段」に与えた影響は大きいと分析し、2島返還実現の可能性を探っています

元CIA工作員は北方領土問題をどう見る???

安倍総理は、「日ソ共同宣言」をベースにロシアと交渉していくことを決めた。つまり、「平和条約締結 → 二島返還」。これについて、ニューズウィーク11月22日に、元CIA工作員グレン・カールさんの見解がでていました。ご紹介します。

北方領土「2島返還」が動き始めた理由

Newsweek 11/22(木)16:49配信

 

安倍とプーチンの大胆な政治決断の背景には中国の台頭という東アジアの地政学的変化がある

 

少し皮肉めいた話だ。ドナルド・トランプ米大統領がもたらした破壊と混乱。習近平(シー・チンピン)国家主席の下でアジアの覇権を目指す中国の歴史的台頭。そして、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と日本の安倍晋三首相の強い決意を秘めた外交手腕。どうやら、この3つの組み合わせがアジアの地政学的状況に歴史的変化をもたらすことになりそうだ。

グレン・カールさんは、

  • トランプがもたらした破壊と混乱
  • 覇権を目指す習中国の台頭
  • 安倍、プーチンの外交手腕

アジアの地政学的状況に、「歴史的変化」をもたらすと予想しています。

そして安倍は、いわゆる「北方領土」4島のうち少なくとも2島を取り戻し、残る2島へのアクセスを大幅に強化することになる。安倍の決断と自らチャンスをつくり出し、それをつかむ能力によって、日本は第二次大戦で味わった恥辱のかなりの部分をすすぐことが可能になるだろう。ロシアとの北方領土交渉で必ずや突破口を開くという安倍の決意は確かに目を見張るものがある。
(同上)

グレン・カールさん、ずいぶん安倍総理を高く評価しています。日本は2島を取り戻し、残り2島へのアクセスを大幅に強化するそうです。安倍総理の決意のおかげで、日本は第2次大戦の恥辱から解放される?

しかし、この交渉で少なくとも一定の成果が見えてきた理由は、アジア太平洋地域の地政学的環境が変化したからだ。
(同上)

安倍総理の決意も大きな要因ですが、「地政学的環境の変化も理由」だそうです。なんでしょうか?

中国の国力増大と、強引とも思える南シナ海への進出。唯一の超大国の名を汚し続けるアメリカの行動と、トランプの孤立主義、日本の同盟国としての信頼性の欠如。ロシアと日本は以上の要因から、台頭する中国への対抗手段として互いに手を組もうとした。
(同上)

グレン・カールさん、ずいぶんトランプさんに厳しいですね。「唯一の超大国の名を汚し続けるアメリカの行動」だそうです。そして、日本の同盟国として信頼される行動をとっていないと。

まとめると、

  • 中国が強くなり、アグレッシブになってきた
  • アメリカは、同盟国としてアテにならない
  • だから、日本とロシアは接近した

と。

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