これまで、テレビやDVDプレーヤーなどを作っていた会社であれば、その延長上の、(映像などの)エンターテイメントを提供する会社、にならなければなりませんが、その場合は、NetflixやHulu、もしくは既存の放送局やケーブルテレビがライバルであることを、強く意識する必要があります。
私が、もし家電メーカーの経営陣の立場にあるとしたら、テレビやDVDプレーヤーなどのハードウェアの小売から利益を上げることはきっぱりとあきらめ、映像のストリーミングサービスも含めた、メディア・エンターテイメント・ビジネスで収益を上げ、テレビ、スピーカー、プロジェクター、VRゴーグル、タブレットなどは、そのサービスに最適化されたハードウェア・アクセサリという位置付けで良いのです。
その意味では、単にハードウェアだけを売っているのではなく、ゲームやオンラインサービスも提供しているソニー・エンターテインメントはとても良い立ち位置にいます。久夛良木さんは本気で考えていたと思いますが、今一度、プレステ(もしくはプレステをApple TVぐらいの大きさにしたプレステライト)をメディアハブとして、ゲームだけでなく、ドラマ、ニュース、スポーツ、コンサートなどを(放送局に代わって)提供するビジネスを本気で立ち上げるのも悪くないと思います。
Amazon、Netflix、Appleとの厳しい戦いにはなると思いますが、ゲーム、映像、音楽ビジネスを持つソニーがやらずに、誰が出来るのか、と思います。
スマートフォンも、いまのビジネスモデルでは続けるべきではありませんが、こんな形のエンターテインメントサービスを家の外に持ち出すためのデバイスとしてであれば販売しても悪くないと思います。ただし、「なぜiPhone/Android向けのモバイルアプリでは不十分なのか」という問いに答えてからにした方が良いでしょう。
Amazon AlexaやGoogle Homeがやろうとしているスマートホームは、日本のメーカーには向いているように思えます。特に、一人暮らしの老人向けの、見守り・癒し・家族とのコミュニケーション・緊急通報装置あたりは、丁寧に作れば、(AmazonやGoogleのアプローチと違って)本当に役に立つサービスになると思います。
特に日本の場合、マンションを通じてカメラ付きインターホン、ウォシュレット、自動お湯張り機が一気に普及したことを考えれば、パナソニックあたりには大きなチャンスがあるように思えます。
ちなみに、この分野での本当のライバルは、セコムだと私は常々思っています。パナソニックがなぜ一般家庭向けのセキュリティ・サービス・ビジネスを本気で始めないのか、私には全く理解できません。