三つ目は、日本の大企業とベンチャー企業の両方に当てはまる話ですが、「こんな世界を作ろう」「自分たちの存在目的は何か」というビジョン(=企業理念)に欠ける会社が多いため、良い人も集まらないし、ビジネスプランも定まらないのです。
ソニーやホンダなどの日本の高度成長期を支えた日本企業も、創業者が存在した時期は、しっかりとしたビジョンのあった会社でしたが、創業者がいなくなり、サラリーマンが経営者をするようになり、ビジョンも薄れ、売り上げやシェアばかり追いかける、面白くない企業になってしまいました。経団連の重鎮たちが、全員、起業経験のないサラリーマン経営者という体たらくなのです。
これは、日本企業だけに当てはまる話ではなく、米国の企業でも創業者がいなくなった後にビジョンがぶれてしまうケースが良くあります。企業にも寿命があるのです。
日本のベンチャー企業のスケールが米国のそれと比べて小さいのは、やはりしっかりとしたビジョンを持たない経営者が会社を率いているため、結局、日銭を稼ぐためのビジネスに走ってしまうのです。日本のITベンチャーの多くが、ガチャ、FX、仮想通貨などの「弱者から搾取するビジネス」に手を出しているのは残念でなりません。
ちなみに、プレゼンの途中で紹介したのが、2019年に卒業する大学生の人気ランキングです。
- 日本航空
- 伊藤忠商事
- 全日空
- 三菱東京UFJ
- トヨタ自動車
- 三菱商事
- サントリー
- 東京海上
- 資生堂
- 東日本旅客鉄道
ベンチャー企業でなくても良いので、せめて、リクルート、ソフトバンク、ファーストリテイリング(ユニクロ)あたりがランキングに入っても良いと思うのですが、そうならないところが、学生までが保守的な考えに囚われていることが良く分かります。