アリババのジャック・マーも習近平に奉仕する
もう一人わかりやすい例をあげておきましょう。2017年1月、トランプさんが大統領になった。当初彼は、非常に反中で、中国は活発な「懐柔工作」を行っていました。で、アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)は2017年1月9日、トランプと会談。「米国に100万人規模の雇用を創出する」と約束した。ちなみに、ソフトバンクの孫正義社長も16年12月6日、トランプと会談して「5万人の雇用を創出する」と宣言した。
馬雲の約束は、孫さんの実に20倍。2人の「動機」の違いも重要。孫さんは、「自分の金儲けのために」トランプに会った。一方、馬雲会長は「習近平の指令」により、「トランプを懐柔するために」会った。BBCニュースのキャリー・グレイシー氏は、こう書いています。
中国では民間企業にさえ共産党の末端組織が存在しており、国家の戦略的利益となると政府の命令に従うよう求められる。
(BBCニュース 2017年2月27日)
トランプ・馬雲会談については。
ジャック・マー氏は任務を背負っており、政府の方針にも沿っていた。ニューヨークのタイムズ・スクエアの屋外広告に、トランプ氏への春節の挨拶を掲載するため資金を提供した他の中国系企業100社も同様だった。
(同社)
アメリカでは、「金持ちが政治家を支配している」といわれます。つまり「金権政治」である。一方、共産党の一党独裁国家・中国では、2兆円以上の資産をもつ馬雲氏でさえ、習近平の命令に逆らえない。それどころか、「お国のため」には他国の大統領「懐柔工作」もする。
日本には、米中覇権戦争がはじまって、中国を擁護する人もたくさんいます。しかし、私は「覇権国家は、他の国にその体制を押しつける」ことを理解してほしいと思います。かつてソ連の支配下にあった国々は、どこも「共産党の一党独裁」でした。中国が覇権国家になれば、日本だって共産党の一党独裁になることでしょう。そして、あなたが大きな会社の社長でも、共産党に奉仕することを強要される。皆さんは、そんな国に住みたいですか?私は、「毎日安倍さんの悪口をいっても逮捕されない日本」でありつづけてほしいと思います。
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