竹中平蔵氏の思惑通りか。安倍政権が入管法改正案成立を急いだ訳

 

技能実習生の制度は日本の企業や農家などで働いて習得した技術を“母国の経発展に役立ててもらう”のが目的。留学生は日本に勉学に来たのであって労働者ではない。

だから、いずれも移民ではないというわけだが、事実として、働き手不足を、彼らの労働力で補っているのだ。しかも、その労働の実態は世界でもすこぶる評判が悪い

技能実習生が低賃金で長時間にわたりブラックな環境で働かされるケースも多いらしく、18年上半期に失踪した実習生が4,279人と過去最多だったことがわかっている。

有田芳生参院議員が12月6日の参院法務委員会で法務省作成の資料として明らかにしたところでは、実習生が2015~17年に計69人も死亡している。

死亡原因は事件・事故のほか、心臓疾患、溺死、凍死などだ。溺死が7人もいることについて有田議員が「なぜなのか」と追及したが、法務省は「これから調査すると逃げの答弁に終始した。

留学生には週28時間までのアルバイトが認められている。彼らの多くは、斡旋業者へ手数料などを支払い100万円前後の借金を背負って来日しているのだ。しかも、日本語学校の学費は年間70~80万円かかるらしい。

一部には、十分な教育環境を与えず、ブラック企業に留学生を斡旋している学校もあるという。夢破れて泣く泣く帰国する留学生が後を絶たず、日本の国際的信用に暗い影を落としている

安倍首相は臨時国会閉幕後の記者会見で、入管法改正の意義を強調した。

「全国的に深刻な人手不足の中、即戦力となる優秀な外国人材にもっと日本で活躍してもらうために必要だ」

だが、人手不足を埋めるという発想だけでは、現代の奴隷制度とさえ言われる劣悪な労働環境は改まらないだろう。移民を受け入れることによってこの国の繁栄をめざそうというなら、日本人と同等の労働条件社会保障のもとで在留できるよう法律に明記すべきではないだろうか。

国会の議論が形骸化されたことによって、移民の受け入れをめぐるさまざまな論点が置き去りにされた。外国人労働者を増やさないと本当にこの国はやっていけないのかという疑問を投げかける声もある。

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