2.思いやりの心を育てるには
欲求不満がたまり、そのはけ口として、自分よりも「弱い」者に八つ当たりする理由は、自分の方が強いからであり、相手の気持ちを思いやることができないからです。思いやりの心は、自分が受け入れられた、優しくされた、という経験を重ねることで育ちます。
優しくされたことのない子どもは、言葉でどんなに「優しくしようね」と言われても、優しさの示し方を知りません。言葉だけで教えられるものではないからです。
だからこそ、親をはじめとした身近な大人がモデルになる必要があります。まずは親が子どもを思いやり、尊敬する姿を見せ、「ありがとう」「ごめんね」などの言葉をかけることです。日々忙しい中でも、子どもに対して感謝の気持ちと思いやりの心を常に意識しながら接しましょう。
3.ネガティブ感情を受け止める
普段から、「嬉しい」「楽しい」と言う前向きな感情は周りの人からしっかり承認されますが、「怒っている」「嫌だ」「悲しい」などのネガティブ感情は「そんなに怒らないの!」「泣かない!」などと否定されがちです。けれどもこうした「怒っている」「嫌だ」などのネガティブ感情もしっかり受け止めることが非常に重要です。
「相手を思いやる心」を育てるために「自分がされて嫌なことは人にもしない」と教えますが、そもそも「嫌である」という感情を受け止めてもらっていないと「何が嫌なのか」わかりません。「相手の感情をくみ取る」には、基本となる自分の感情をしっかり理解していなければできません。そのために、ネガティブな感情も周囲からしっかりと受け止めてもらいながら育つ必要があります。
「今、あなたは悲しいね、辛いね」と誰かに言葉で認めてもらい、共感されることを「感情の社会化」と言います。感情の社会化をし、「今の自分のこの気持ちは悲しいんだ、辛いんだ」と自分の気持ちを理解することが、「他者の気持ちをくみ取る」「相手を思いやる」ことに繋がります。
家庭教育アドバイス……「困る子どもを作るのは親」
子どもは、いつも叱る親に対して「ありのままの自分ではだめだ」と思うから、親の「理想の子ども」、つまり「叱られない子どもになるために嘘をつく」ようになります。
また、親にお願い事をしても後回しにされたり、聞き入れてもらえなかったりすることが続くと、「いつも自分のことは後回しで、聞き入れてもらえない、自分に注目してもらうにはこのままじゃだめだ」と思うから、「自分に注意を向けさせよう」と親にとって困ることをします。 どちらの例も親にとっては「困る子ども」です。けれども共通しているのは、「自分を受け入れてほしい、見てほしい」という思いです。「親にとって困る子供」は、親自身の子どもに対する態度が作り出しているようなものなのです。ご自身のお子様が、「困る子ども」になるときがあるならば、子どもに対する接し方を見直しましょう。
image by: shutterstock.com