盟友マティスが去ってもトランプが譲らぬ「敵は中国のみ」の正答

 

トランプ政権発足当時から共に歩んできたものの、「シリア米軍撤退」には反対と見られるマティス国防相の辞意が表明され「米の中東の戦略的失敗」が露呈、世界勢力図が大きく変わり始めました。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、今回のトランプ大統領のシリアからの撤退という戦略は米中覇権戦争勝利のために合理的判断されたものとして、その根拠を詳しく解説しています。

マティス国防相はなぜやめるの?

日本でも人気の高いマティス国防相辞めるそうです。理由は、はっきりしています。トランプさんは、シリアから米軍を撤退させることにした。マティスさんは、これに反対なのです。

トランプ政権のシリア撤退決定トランプ大統領は19日、ISはシリアで敗れたと宣言し、米軍約2,000人を撤退させるといきなり発表した。米軍はシリア北東部の大部分でISを掃討したが、残存勢力が局所的に掌握する地域はまだ随所に残っている。マティス長官はかねてから、シリアから時期尚早に撤退するのは「戦略的失態」になると警告していた。
(BBC NEWS Japan 12/21)

なぜ「戦略的失態」になるのでしょうか?「トランプの決断。中東から撤退し中国との全面対決戦を選んだ米国」でも書きました。シリアでは大国の代理戦争が行われている。ロシア、イランは、アサド現政権を支援している。アメリカ、欧州、サウジ、トルコなどは、「反アサド」を支援している。そして、アメリカは去る。これは、アメリカがシリア戦争でロシアに敗北したこと」を意味します。

するとどうなるでしょうか?当然、ロシアがアメリカにかわって中東の覇者になる。アメリカの同盟国であるサウジアラビアやイスラエルは、ロシアとディールせざるを得なくなる。それで、「戦略的失態だ!」とマティスさんはいうのです。極めて「常識的な判断」といえるでしょう。

しかし、私は、前号でも書いたように、シリア撤退は、「戦略的に正しい」と思います。なぜ??

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