受けの美学にお約束。現役教諭がプロレスを生観戦して判ったこと

matsuo20190115
 

一時期は完全に低迷していたものの、今や完全復活を果たしたプロレス。試合会場には女性ファンの姿も珍しくありません。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師でもある松尾英明さんが、自らプロレスを観戦し、肌で実感したそのエンタテイメント性について紹介しています。

プロレスから「受けの美学」の学び

1月4日に東京ドームで行われたプロレスを観戦してきた。初プロレス観戦である。ご存知の方も多いと思うが、私はエンターテインメント関係にはさっぱり興味がない。以前にもお伝えした通り、誘われたからである。チケットまで全て手配してくれて、有難いことである。

結論からいうと何もかもが大変勉強になった。やはり、誘いに従って行ってよかった。

まず、あれだけの人を熱狂させる魅力があるということ。4万人近くの来場者があったらしい。セミナーを開催しますといって50人集めるのも大変なのに、桁違いの恐るべき集客力である。

次に、エンターテインメント性。観客を喜ばせるというのがどういうことなのか。そこにお約束の重要性がある。

関連して、主役と同等の悪役の存在価値の高さ対戦相手への信頼感とリスペクト。相手を後ろから殴り飛ばして足で蹴っ飛ばして踏みつけて挑発ポーズをとっているけど、リスペクトなのである(この辺りはかなり一般的に理解しづらいが、そういうものなのである)。

特にあの、コーナーポストからジャンプしてのボディプレス等を「敢えて避けない理由がよくわかった。避けると、相手が大ケガするからである。大ケガをして欠場になるということは即ち、次以降の大切な対戦相手を一人失うことになる。特に場外へのダイビングは大変危険なので確実に受ける必要がある。敵である対戦相手も、大きな視点でいうと仲間だといえる。

また、エルボーや張り手も避けない敢えて受ける。受けて受けて受けて受けて我慢してからやっとやり返す。一緒にいたプロレスファンの方々の言葉だと「受けの美学」なのだという(翌日の話になるが、ここに関連して講師の俵原先生の教えが印象的であった。教師は子どもからの攻撃を「敢えて受ける」というこの「受けの美学」が足りない。避けすぎずに、敢えて受けまくる必要があるという。これは、カウンセリングマインドの考えにもつながる。なかなかに深淵である)。

プロレス自体で考えずに、多くの人が観る、映画に例えるとわかりやすいかもしれない。映画で悪役が倒されるシーンで、悪役が演技そっちのけで本気で戦って主人公を倒してしまったら、映画が成り立たない(というか、普通に撮り直しである)。そこで悪役がやっつけられる演技を見てやらせだとかいう人はいない。観る側は何となく主人公が勝つことはわかっているけれど、完全には確信できない。たまに悪役が勝つという展開が、エンターテインメント的にあり得るからである。

print
いま読まれてます

  • 受けの美学にお約束。現役教諭がプロレスを生観戦して判ったこと
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け