世界経済「2つのリスク」と消費増税&五輪バブルを抱える日本

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1月9日に公表された、世界銀行のエコノミストによる報告書。その「2019年世界経済の成長減速は確定で、減速の度合いは世界情勢次第」という内容を受け、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、米中貿易戦争を筆頭とした世界経済が抱える「複数のリスク」を解説するとともに、日本もその波乱に巻き込まれる覚悟を持つべきと記しています。

世界経済に暗雲(世界銀行)

世界経済は、これからどうなっていくのでしょうか?世界銀行の見通しは、どうなのでしょうか?BBC NEWS JAPAN 1月9日付を参考に見てみましょう。

今年の世界の経済成長率は2.9%と、昨年6月時点の3%から0.1ポイント下方修正。来年は2.8%になるとみており、成長がやや鈍化するとの予測を示した。

世銀の予測によると、世界経済は2019年、2.9%成長。2020年は、2.8%だそうです。バブル崩壊後万年低成長の日本からすると、「悪くない」ように思えますが、しかし…。

しかし、おおむね好調の見通しを懸念が上回っている状況で、下方修正した成長率にも達しない可能性がある。
(同上)

2019年2.9%に達しないこともあり得ると。

報告書には良いニュースもあった。世銀のエコノミストは、経済成長は鈍化するものの、その落ち込みは「軟着陸」になるとみている。減速は昨年半ばから始まっているが、今のところ「秩序のとれた」減速を維持しているという。
(同上)

なるほど~。つまり、成長が鈍化していくのは確実。しかし、「秩序のとれた減速である。つまり、08年のような危機は起こらないだろうと。

米中経済の見通しは?

GDP世界1位アメリカと2位中国は、どうなるのでしょうか?

今後さらに減速が続くと予想されるのは主に富裕国、特にアメリカだが、ユーロ圏や日本に比べれば、アメリカは今後も速い成長を続けると世銀はみている。アメリカの成長鈍化はドナルド・トランプ大統領による減税政策の効果が薄れてきたことが原因で、同国の成長は昨年の2.9%から、2021年までには約半分の1.6%まで落ち込む見通しだ。

アメリカは、2018年の2.9%から2021年には1.6%まで鈍化する。

中国は1980~2010年にかけて10%の経済成長を維持していたが、2021年までに6%となる見込みで、これは中国経済にとって大幅なギアチェンジを意味する。
(同上)

中国のGDPをみると、世界経済が最悪だった09年でも9.2%の成長。10年には10.61%成長し、「中国の時代が来た!」と確信した人も多かったのです。ところが、2012~14年は7%台。15年からは6%台まで鈍化しています。しかも中国の場合、公表される統計が信用できない。15年、16年は6%も成長していなかったと主張する人もたくさんいる。高橋洋一先生は、貿易統計から判断して、2015年はマイナス3%ぐらいだろうとおっしゃっていました。公式統計でも、「今後も鈍化傾向はつづいていく」ということですね。

ここまでをまとめると。

  • アメリカの成長は鈍化していく
  • 中国の成長も鈍化していく
  • 世界経済の成長も鈍化していく

となります。

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