世界経済のリスク
世界経済は鈍化していくものの「ソフトランディングだ」と世銀はしていた。ところが、「ソフトランディングしない可能性」もあるのです。ややこしいですね。
世銀は向こう数年間、世界経済全体でもこうした緩やかな減速がみられると予測している。しかし、複数のリスクのため、予測した通りにはならないかもしれない。その懸念が、今回の経済見通しの「Darkening Skies(暗雲立ち込め空)」というタイトルに反映されている。
(同上)
複数のリスクとは、何でしょうか?「最大のリスク」は、皆さんの予想通り。そう、「米中貿易戦争」です。
報告書は、米中が経済保護策を強化する危険性はなお高く、それが世界の2大国の経済活動を低迷させると懸念を示す。特に中国の成長鈍化は、工業製品やエネルギー、金属などを大量消費する中国に輸出している途上国にとって問題になる。オーネゾルゲ氏は、米中は世界貿易の2割、世界全体の域内総生産(GDP)の4割を占めていると指摘する。もし両国の経済が打撃を受ければ、「世界中でその影響が出る」という。
(同上)
アメリカはGDP世界1位、中国は2位。この二国の貿易戦争が激化すれば、「世界中でその影響が出る」というのは、当然すぎる結論です。
では、両国の貿易戦争は激化するのでしょうか?アメリカは、昨年「中国打倒を決意した」と私は見ています。しかし、両国とも核兵器を大量保有していることから、戦争の形態は変わっている。戦闘ではなく、情報戦、外交戦、経済戦が活発に行われる。そうなると、米中貿易(経済)戦争が激化し、それが世界経済に打撃を与えることになるでしょう。
二つ目のリスクは、こちら。
世銀の予測では、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)は特に、欧州への輸出に依存する国にとってリスクになる可能性がある。イギリスが欧州連合(EU)との合意なく離脱した場合、英・EU双方が大きな経済的打撃を受ける可能性があり、その余波は東欧や北アフリカにも及ぶという。
(同上)
「合意なきブレグジット」が2番目のリスク。
RPEでは去年から「危機に備えましょう」という話をしています。「米中貿易戦争」「合意なきブレグジット」に加え、日本には「消費税率引き上げ」がある。来年には、「五輪ミニバブル崩壊」も待っている。
「どう備えるか」は各人、各企業ごとに違うでしょう。しかし一般的にいえば、新たな借金はせず、手持ちの現金を増やしておくということでしょうか。
皆さんの会社の社長さんが「日中関係が良くなって来た!さあ中国に出るぞ!」などといったら、是非反対してください。
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