トリドールの真の第2の柱、フフ
もう1つ、成長をより以上に加速させているのが、非飲食のヘアカラー専門店「フフ」である。経営するファストビューティという会社は、2014年7月に創業。1号店は東京の中野店であった。既に関東や関西に77店を急速に展開している。19年2月には新規5店がオープン予定だ。
予約なし、60分で施術できる手軽さがあり、イメージとしては1,000円カット「QBハウス」の毛染め版のような美容院と異なるヘアカラーに特化した店だ。値段は、根本染め(リタッチ)で2,400円、全体染めは髪の長さで異なるが、ミディアム3,900円である。
実は、トリドールは16年5月に、“美白の女王”で知られた故・鈴木その子氏が創業した化粧品「SONOKO」を約30億円で買収して、美容分野に進出している。「SONOKO」は「フフ」と17年1月に資本業務提携を結び、出資比率を上げて子会社にする計画が報道されていた。「フフ」はトリドールの信用力によって、当時4店だったのが、商業施設にハイペースで出店しており、全国制覇しそうな勢いである。トリドールの真の第2の柱は、「肉のヤマキ商店」でも、まして「晩杯屋」でもなく、なんと異業種・美容分野の「フフ」が担うことになりそうだ。

「フフ」店内
その他にも、トリドールはとんかつ・トンテキ・かつ丼の「豚屋とん一」を商業施設中心に51店、創業の業態で炭火焼鳥・唐揚げ・釜めしの「とりどーる」15店、天ぷら定食・天丼の「まきの」10店、神戸・長田の味であるぼっかけ焼きそば「長田本庄軒」10店、ハワイアンパンケーキカフェ「コナズ珈琲」16店、兵庫県姫路市発祥で17年11月に買収した背脂系濃厚とんこつラーメン「ラー麺ずんどう屋」41店、等々。とにかく、手当たり次第に大衆業態を自ら開発し、M&Aを仕掛けている印象だ。
![IMG_1701[1]](https://www.mag2.com/p/news/wp-content/uploads/2019/01/IMG_17011.jpg)
ぼっかけ焼きそば「長田本庄軒」
粟田社長は聡明な経営者だが、実際のところ「丸亀製麺」しか成功したと言える業態はない。どれも業態として悪くはないが突出するパンチに欠ける中途半端な状態、人材の育成も必要で、どうやってあと7年で4,000店も増やすのだろうか。
もっとも粟田社長は、「丸亀製麺」がいりこの味がしない讃岐うどんまがいの業態だと批判されると、「いぶきうどん」という瀬戸内海・伊吹島産のいりこダシを全面に出した新ブランドを展開してみせたほど研究熱心でもある。
「フフ」は「丸亀製麺」に次ぐ大ヒットを予感させ、「肉のヤマキ商店」も200~300店くらいは出せそうな雰囲気が漂ってきた。選択と集中で、この2業態に絞るのか、それともこのままマルチ戦略であれこれ出すのか。トリドールが掲げた超ビッグマウスの2025年に6,000店という目標進捗を、見守っていきたい。
image by: 丸亀製麺 - Home | Facebook