中国軍幹部「台湾独立派は戦争犯罪人として処理」発言の本気度

 

なぜ?

習近平につづき、何雷中将が、台湾について過激ともいえる発言をしています。なぜでしょうか?

皆さんおわかりですね。そう、2018年に米中覇権戦争がはじまり、アメリカが台湾支援を強化しているからです。もし米台関係が、日米関係レベルまで強化されれば、中国は台湾を併合できなくなるでしょう。それで中国は、アメリカと台湾独立派を牽制しているのです。台湾独立派からいうと、「追い風が吹いてきた」ということでしょう。

ただアメリカの怖さは、「コロコロ変わること」です。たとえばアメリカの支援を受けたジョージアは08年、ロシアと戦争して大敗北。南オセチアとアプハジアを事実上失いました。

カダフィは03年、アメリカを信じて核兵器開発をやめた。しばらくカダフィと欧米関係は改善された。しかし11年、彼はアメリカが支援する反体制派につかまり殺されました。

11年、シリア内戦がはじまり、アメリカは「反アサド派」を支援しました。しかし、その支援は十分ではなく、結局ロシア、イランが支援するアサドに敗北した。トランプは最近、「シリアから撤退する」と宣言し、「反アサド派」を事実上見捨てました。

14年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシア派ヤヌコビッチ政権が倒れました。そして、親米政権が誕生した。3月、ロシアは、クリミアを併合。4月、ウクライナ内戦が勃発しました。これは、当然、アメリカとロシアの代理戦争です。今、ウクライナは事実上、アメリカに見捨てられています。なぜ?トランプはロシアではなく中国を主敵に選んだから

このように、アメリカはコロコロ変わるので、一瞬たりとも安心できません。台湾は、「米中覇権戦争で追い風が吹いている」ことを自覚しつつも、「現状維持に務めるのがいい(この風に乗って軍備を増強するのはよいことでしょうが)。そして、米中覇権戦争で中国共産党政権が消えるのを待つ。その時、本当のチャンスがめぐってきます。

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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